今後ますます増加する「EV車両火災」 対策を急がなければならない理由とは?

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なぜ「EV車両火災」 対策を急ぐ必要があるのか。考察する。

EVの火災にまつわる不安とは?

燃えたテスラ・モデルS。カリフォルニア州の消防士はテスラのバッテリーコンパートメントの頑固な炎を消すために水を満たしたピットを使用した。電気自動車の炎と戦う際の特有のハードルを典型的に示している。2022年6月9日撮影(画像:AFP=時事)
燃えたテスラ・モデルS。カリフォルニア州の消防士はテスラのバッテリーコンパートメントの頑固な炎を消すために水を満たしたピットを使用した。電気自動車の炎と戦う際の特有のハードルを典型的に示している。2022年6月9日撮影(画像:AFP=時事)

 電気自動車(EV)の販売がますます加速している。環境に配慮した乗り物であるというプラスイメージが世間に浸透する一方で、EVに対するさまざまな不安や不信の声もあるのが事実だ。これらの一部を少し書き出してみよう。

・長距離を走れない、特に冬場は頻繁な充電が必要
・車両価格が高い
・そもそもエコでない
・バッテリーの原材料や廃棄物による環境破壊の懸念がある
・EVの火災にまつわる不安が残る

 今回は最後に書いたEV火災に焦点を当て、現段階での問題点などを浮き彫りにしていく。

 動画サイトで「ev fire accident」と検索すると、電気自動車が燃えている映像やドキュメンタリーが表示されるので、一度見てみるとよいだろう。なかには、バッテリーそのものの発火や駐車場に停車中の自動車が突然発火して燃えている映像もあり、バッテリー火災の怖さをまざまざと見せつけられる。

 もちろん、バッテリーを原因とする火災はEV特有のものではない。東京消防庁によると、令和3年中にリチウムイオン電池関連から出火した火災は141件だった。平成29年の火災発生件数56件に対し、この5年間で約2.5倍に増加しているという。しかしながら、日常的に使用している電気製品とEVとではバッテリー容量が段違いに異なるのだ。

 例えば、スマートフォンなどを充電する3.7V 10,000mAhのモバイルバッテリーのバッテリー容量は37Whであり、40kWhバッテリーを搭載している電気自動車のバッテリー容量は、文字どおり40kWhである。単純計算しただけでも、電気自動車のバッテリーがとてつもなく大きいことがわかる。

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