タクシーの「自動ドア」 乗客が勝手に閉めてはいけないワケ

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タクシーのドアは「自動で開く」のが当たり前――誰もがそう思っているだろう。しかし実はこれ、日本独自のシステムなのだ。もちろん初めから自動だったわけではなく、きっかけは高度経済成長期にまでさかのぼる。

ドアに触れてほしくないドライバーたち

お互いの安全のためにも、ドライバーの指示には従おう(画像:写真AC)
お互いの安全のためにも、ドライバーの指示には従おう(画像:写真AC)

 タクシーのドアを親切心で閉めてあげようとして、ドライバーから注意を受けたという人も多い。実際こうしたタクシーの機構を知らなければ、ドアの開閉が原因でドライバーにけがを負わせてしまったとしても、自分のせいとは思わないだろう。

 タクシーの乗り降りには、思っている以上に気をつけなければいけないことがあるのかもしれない。そこで知り合いのタクシードライバーに「客がドアを自分で閉める行為」について取材した。

「お客さまが自分でドアを閉める行為は確かに危険ですね。特にドライバーがドアを閉めるタイミングでお客さまがドアを閉めようと手を伸ばすと、突き指などけがの恐れがあります」

「降車時もドアを閉めてほしくない事情は同じです。ドライバーはあらかじめ、扉を閉めようと自動ドアのレバーに手を添えていることが多いんです。そこで勢いよくお客さまが扉を閉めてしまうとレバーをつかんでいた手ごと腕を引っ張られてしまうので、かなりビックリします」

「それとタクシー運転は衝突防止のため、周囲の安全を確認したうえでドアを開閉しています。事故の防止という意味でも、お客さまが自分でドアを開けるのはガマンしていただきたいです」

「また危険の有無に関わらず、ドアを閉めるのはドライバーにお任せいただきたいですね。お客さまには少しでも快適にご乗車いただきたいので、ドアの開閉というお手間は私どもがサポートしたいと思っています」

 乗客・ドライバー相互の安全、周辺の危険確認、また職業ドライバーが誇るサービスのため、ドアの開閉は任せた方がいいということだろう。

 たとえ親切心からであっても、自分で開閉する行為はけがや事故を呼びかねない。万が一車両故障によって車が営業できなくなった場合、最悪は損害賠償などの可能性だってありえる。変に遠慮がちにならず、お金の分だけサービスを受け取ることがお互いのためになるということだ。

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