タクシーの「自動ドア」 乗客が勝手に閉めてはいけないワケ

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タクシーのドアは「自動で開く」のが当たり前――誰もがそう思っているだろう。しかし実はこれ、日本独自のシステムなのだ。もちろん初めから自動だったわけではなく、きっかけは高度経済成長期にまでさかのぼる。

タクシーの自動ドアの仕組み

知らないとけがを招く?(画像:写真AC)
知らないとけがを招く?(画像:写真AC)

 前述のとおり、主流はレバー式である。レバー式は乗客から見ればドアが自動で開いているように見えるが、実は運転席からレバーを動かして開けている「手動」ドアなのである。ドアの動きとレバーの動きはリンクしているのだ。

 運転手は乗客の乗り降りに際して、衝突事故を防ぐために周囲の安全を確認してから開け閉めをおこなっている。そのため、乗客の乗り降りの際にはレバーに手をかけていることが多い。

 開けっ放しにしているときは、運転手がレバー操作をしている状態であることもあるため、勝手に閉めるとその衝撃はレバーを介して運転手に伝わることになる。運転手にけがの危険があるだけでなく、レバー操作に逆らった力を加えることで

「故障につながる可能性」

もあるわけだ。

ドライバーが足で押さえていることも

ドライバーは周辺の確認をしながらドアを操作している(画像:写真AC)
ドライバーは周辺の確認をしながらドアを操作している(画像:写真AC)

 タクシーのレバー式ドアには、手で操作するタイプのほかにも、足で操作するタイプの車がある。

 平らな道では一度開けば勝手に開く状態がキープされるが、坂道などではドアの自重で閉まってしまう。そのため、実は坂道でドライバーがレバーを支えてドアが開いた状態をキープしていることが多いのだ。

 こちらも手動レバーと同様、急に乗客にドアを閉められると足にレバーがぶつかって運転手がけがをすることもありえる。足で操作していても手で操作していても、急にドアを閉められると大きな衝撃が運転手に伝わることになるのだ。

 急いでいるときは早くドアを閉めようとしてしまいがちだが、故障してしまっては一大事。ドアの開閉は運転手に任せるのがよいだろう。

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