気分はインディ・ジョーンズ? 伝説の富山県「黒部ルート」一般開放は、北陸新幹線敦賀延伸の観光コンテンツになりえるか
富山県の新たな観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放に向けて、準備が進んでいる。同ルートは、関西電力が所有する発電設備の維持補修専用路線だった「黒部ルート」の一般開放によって生まれるものだ。
協議に長年応じなかった関西電力
当時の資料を調べると、さらに知られていない事実も判明した。黒四ダムが完成した際、
・立山ルート(現在の黒部観光で多く使用されている立山黒部アルペンルート)
・大町ルート(長野県扇沢駅と黒四ダムを結ぶルート。現在は電気バスを使用)
と並んで、黒部ルートも同時開放すると見込まれていたのである。
実際、関西電力も厚生大臣の許可条件通りに黒部ルートの同時開放は検討していたようで、着工時に国に対して
・展望台やレストハウスの設置
・遊歩道の整備
などの、文字通りを観光地にする計画案を示している。
ところが黒四ダム完成後、関西電力は計画を白紙撤回。以降、1996年に黒部ルート見学会が開始されるまで、富山県や県議会の要請にも拘わらず、関西電力が協議に応じない状況が長らく続いていた。
そうした背景もあり、黒部ルート見学会開始の際には、これをはずみに一般開放への期待も高まっている。今回の黒部宇奈月キャニオンルートの誕生は、実に数十年がかりの悲願だったというわけだ。
立山黒部アルペンルートが海外でも人気の観光地となるなか、黒部ルートが開放されれば、富山県はかなり魅力的な観光地を手に入れることになる。北陸新幹線金沢延伸の際、素通りされてしまうばかりだった同県は存在感を増すだろう。
気になる一般開放後の料金だが、宿泊と組み合わせた旅行商品となることは予定されているものの「価格は未定」とのことだった。