タクシードライバーが「長距離客 = ラッキー!」とは必ずしも思わない理由

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タクシーは早朝から夜間帯まで利用できる便利な存在だ。多くの利用者は短~中距離を乗るが、自治体を越えて移動する際などの長距離利用について、今回は考えてみたい。

ドライバーが語る「長距離」エピソード

長距離送迎での、気になる売り上げは(画像:写真AC)
長距離送迎での、気になる売り上げは(画像:写真AC)

 そもそも、長距離の送迎依頼はあるのだろうか。知人のタクシードライバーに尋ねたところ、

「私が横浜市内で働いていたとき、静岡県の富士宮市にあるゴルフクラブまで送迎したことがあります」

と話してくれた。走行時間は約2時間、片道約127kmもの道のりだったという。

「予約なしの“乗り込み”のお客さまで、目的地を聞いたときは聞き間違いかと思い、ひきつって笑ったのを覚えています。そのお客さまは車が故障してしまい、どうしても富士宮まで向かう必要があるようでした」

というように、予約のない長距離送迎はやはり珍しいようだ。アクシデントに見舞われたとはいえ、それだけの距離をタクシーで利用した場合、どれだけの料金がかかるのだろうか。

「料金は高速代(約2000円)込みで片道3万8000円くらいでしたね。帰りの高速代は会社負担となるので、利益は差し引き3万4000円ほどでした」

 なかなかの高額だが、タクシードライバーとしてはどうなのだろう。実際のところ、片道2時間で3万4000円を稼いでも、そこから帰社するためさらに2時間戻らなければならない。往復の4時間で3万4000円という売り上げは“高い”のだろうか。

「横浜市内で働いていたときは、1日の売り上げ目標は2万円でした。そのため、一度の送迎で目標を達成できるだけのパフォーマンスを発揮できましたね」

 どうやらドライバーとしては十分な売り上げになっていた様子。もちろん1日あたりの目標金額は地域や会社によってもさまざまだろうが、まれにやってくる長距離送迎についてはどう考えているのだろうか。

「私は地域密着で働くのが好きなので、地元を走ることを愛していますが、たまに長距離送迎を経験できるのはワクワクします」

運転が好きなドライバーからすれば、長距離送迎はあまり苦にならないのだ。

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