牟岐線「新駅問題」混迷続く 無人駅なのになぜ徳島県知事選の争点に浮上したのか?

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保守3分裂の徳島県知事選挙がスタートした。争点のひとつに浮上しているのがJR牟岐線新駅設置の是非だ。駅舎もない無人駅の行方がなぜ、県政の課題に浮上したのだろうか。

新駅は徳島駅から650m

保守系3候補と共産党候補が立候補した徳島県知事選のポスター掲示板(画像:高田泰)
保守系3候補と共産党候補が立候補した徳島県知事選のポスター掲示板(画像:高田泰)

 新駅の設置構想は、2020年末の県議会で飯泉氏が代表質問に答えて打ち上げた。

 牟岐線東側の旧徳島市文化センター跡などで計画されている徳島文化芸術ホール(仮称)の最寄り駅とするためだ。その後、新駅設置で鉄道利用者が1.3~1.4倍に増えるとしてJR四国へ新駅設置の協議書を提出した。JR四国は2022年に基本了承とする回答を寄せている。

 しかし、市民団体は相次いで反対運動を展開してきた。徳島駅から約650mの近距離に新駅を設置することを税金の無駄遣いとみているからだ。女性で組織する「とくしま井戸端会議おばちゃん連」は、予定地でプラカードを掲げて抗議行動した。

 芸術関係者らでつくる「県都にふさわしいホールの実現を求める会」は、県に1100人を超す反対署名を提出した。内藤市長のリコール運動を展開した「内藤市長リコールと議会を変える市民の会」は計画を疑問視するチラシを市民に配布している。

 これに対し、県都市計画課は

「駅間の距離が650mより短い区間は他の都道府県にもある」

と反論し、駅の設置で徳島駅から、新駅、阿波富田駅周辺までの夜間人口が1.25倍、従業人口も1.28倍に増えるとしている。新駅周辺に市役所のほか、徳島中央警察署、徳島地方裁判所など官公庁が集積していることも設置理由に挙げた。

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