「ストライキ = 過去の産物」は大間違い? イギリスでは「鉄道マン」が怒る!怒る!怒る! しかも国民は支持、いったいなぜなのか

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日本では“過去のもの”と思われている「ストライキ」が、イギリスでは鉄道や学校、放送局などさまざまな業種、職種で行われている。しかも国民は支持しているという。なぜなのか。

国民の支持の背景

ロンドンバス(画像:写真AC)
ロンドンバス(画像:写真AC)

 なぜ、イギリスでストライキが支持されるのかと考えたとき、そもそもストライキが始まったのがイギリスという点に行きつく。

「日本国家公務員労働組合連合会」のウェブサイトによると、18世紀末、産業革命下にあったイギリスで労働組合が誕生、自身の身を守るために自然と生み出された技術がストライキだった。

 産業革命の華々しさの一方で、労働者自身は解雇、低賃金、長時間労働などの過酷な状況下にあり、そこにはけがや病気、貧困がつきものだった。

 地域のコミュニティーでもあるパブでは、労働者が自主的な共済活動を開始した。ひとりでは労働者としての弱い立場であっても、団結してともにストライキをすることで、勤務先や社会全体を動かすような大きな力になる得ることを学んだという。

 ところが、サッチャー政権の時代を境に、イギリスの労働者はストライキをしない方向に向かった。少し前まで、多くのイギリス人は、フランス人やドイツ人の労働者たちを、「大陸の労働者は常にストライキ中だが、それはビジネスに悪影響だ」と冷笑していたと言う(2023年3月15日付『DW』)。

 しかし、緊縮財政、欧州連合(EU)離脱、パンデミック、ウクライナ問題など、激動の時代が続き、インフレ率は2桁に上り、状況は変わった。

 ストライキの文化はもともと彼らのなかにあったものであるし、周辺諸国のストライキのニュースを日常的に見聞きしていたので、その選択肢は、埋もれていても常に頭の片隅にあったことだろう。

 日本も物価高に苦しんでいるが、イギリスのレベルに達したらストライキが起きるのだろうか。まずは、効果的な物価高対策が打たれることを祈りたい。

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