「邦人退避は一足早く」 台湾進出企業が回避すべき“タイムオーバー”とは

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台湾進出の日本企業の間では、駐在員の安全や退避について真剣に考える動きが広がっているが、「一歩早い退避」の検討が必要だ。

「タイムオーバー」となる前に

台北の街並み(画像:写真AC)
台北の街並み(画像:写真AC)

 政治的緊張の高まりによって民間航空機の運航がストップしたケースは他にもあるが、 ここで重要なのは、「事後にストップする」ケースもあれば、「事前にストップする」ケースもあるということだ。

 そして、それを今日の台湾情勢に照らし合わせると、台湾に進出する企業は「有事を巡って緊張が高まると、事前に民間航空機の運航がストップし、駐在員を避難させるすべが事実上なくなってしまう」という可能性を念頭に置く必要がある。

 ウクライナと違い、台湾は周囲を海で囲まれている。ウクライナ侵攻では、隣国のモルドバやポーランドなど隣国に避難することができたが、台湾有事となれば、中国軍が台湾周辺の制海権と制空権を握ることが考えられ、民間航空機は唯一の安全な避難手段となる。

 ペロシ氏訪台の際、韓国航空会社が取った措置は「事後」だが、今後は緊張が徐々に高まる際、“爆弾が爆発”する前、つまり「事前」に運航停止となる可能性もある。

 有事になってから行動しても、国際空港や市街地などは大混乱しており、既に「タイムオーバー」という事態も想定される。

 台湾を巡っては今後も予断を許さない情勢が続く。こういった事情を考慮し、モビリティ関連など日本企業としては、平時からの退避、つまり「一歩早い退避」ということも、選択肢のひとつとして真剣に検討する必要があるだろう。

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