「邦人退避は一足早く」 台湾進出企業が回避すべき“タイムオーバー”とは
「リスクあり」で運航停止も

ロシアによる侵攻から1年が経過したウクライナ情勢が一向に改善の兆しが見えない中、欧州の格安航空会社(LCC)ウィズエアーは2月末、モルドバの首都キシナウと欧州各都市とを結ぶ全フライトを3月14日から停止する方針を明らかにした。
モルドバのサンドゥ大統領は2月半ば、「ロシアがモルドバ国内でクーデターを計画している」と発言するなど、両国間でも政治的な緊張がみられ、ウィズエアーも運航停止の理由として、昨今のモルドバを取り巻く情勢を挙げている。
軍事的緊張の高まりによって、民間航空機の運航が停止となるケースは過去にも多くある。
2022年では、先ほど述べたように8月2日~3日のペロシ氏訪台によって軍事的緊張が一気に高まったが、その際、韓国の航空会社は、一時的に韓国と台湾を結ぶフライトをストップした。大韓航空は8月5日と6日の仁川~台湾便を、アシアナ航空は5日の台湾への直行便の運航を停止した。
また、同月末、イラクではイスラム教シーア派の指導者サドル師が政界から引退する意向を表明したことがきっかけとなり、首都バグダッドでサドル師支持者らと対立勢力との間で衝突が激化。少なくとも20人が死亡するなど、政治的混乱が広がった。その直後、イランはイラクとの国境を閉鎖し、国民にイラクへの渡航自粛を呼び掛け、イラクへ向かう全フライトがストップした。
さらに2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻前、ルフトハンザやエールフランス、KLM、スカンジナビア航空など欧州の航空会社は、首都キーウや南部オデッサなどウクライナ各地へ向かうフライトを停止していった。
2019年7月には、エジプト領内で航空機を狙ったテロのリスクが高まっているとして、ブリティッシュ・エアウェイズがカイロ便全便を7日間欠航、ルフトハンザ航空がカイロ便2便を欠航したこともある。両航空会社とも、安全が確認できるまでフライト再開はできないと発表したが、その後フライトは再開された。