JAL機の福岡空港「門限破り」 既出報道に欠けていた「乗客の権利」という視座、航空需要回復の今後このままでいいのか?

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羽田空港から福岡空港を目指したJAL331便が2月19日、福岡空港の門限(カーフュー)である22時までに間に合わないとして、空港側から着陸を認められず、インターネット上で話題となった。

乗客335人が道連れ

航空機(画像:写真AC)
航空機(画像:写真AC)

 羽田空港から福岡空港を目指したJAL331便が2月19日、福岡空港の門限(カーフュー)である22時までに間に合わないとして、空港側から着陸を認められなかった。同機は関西空港に目的地変更(ダイバート)し、そこで給油。羽田空港に戻ったのは午前3時だった。乗客335人は7時間も機内に閉じ込められることになり、インターネット上で大きな話題となった。

 緊急対応を迫られた航空会社も大変だが、何より乗客はたまったものではなかっただろう。翌日のスケジュールは変更を余儀なくされ、何よりも体力・気力とも大いにそがれてしまったに違いない。

 JAL331便の出発が遅れたのは不可抗力ではないため、門限以降の着陸は認められない――というのが空港側の理由だ。その背景には、安易に「門限破り」の前例を作りたくないという考えがある。安全確保のため、厳格にルールを適用しようとする姿勢は否定できない。ただ、乗客の立場になれなかったのかという疑問も残る。

 1~2時間ならまだしもく、時間が多少遅れた程度で、どこまでの問題が生じるのか。特に都心部の生活は24時間化が進んでいる。諸外国の大都市部を見れば、24時間化への対応もあり、大都市空港で門限を設けているところは見られない。

 とはいえ、大幅に羽田空港の離陸が遅れた時点で福岡空港に向かわせた航空会社にも責任の一端は当然あり、福岡空港との間でのコミュニケーションも不全だったことは反省すべきだろう。

 その上で、今回の問題について、いくつかの論点を設定して振り返ってみたい。

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