マツダはなぜ「ロータリーエンジン」の未来をあきらめないのか? という、一度は考えるべき根源的な問い

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2013年4月、マツダにとって最後の量産ロータリーエンジン搭載車だったマツダRX-8が販売を終了。ロータリーエンジンの系譜が途絶えることとなった。

レンジエクステンダーへの転用

レンジエクステンダー搭載デミオEV(画像上)、レンジエクステンダー用小型REユニット(画像:マツダ)
レンジエクステンダー搭載デミオEV(画像上)、レンジエクステンダー用小型REユニット(画像:マツダ)

 さて、前置きが長くなってしまったが、マツダにとってのロータリーエンジンは

「企業カラーそのもの」

であり、時代に合わなくなったからといって容易に捨てることは選択肢にはなかったことは間違いない。

 その結果、マツダの経営陣と技術陣が選択したのは頻繁に回転速度が変わる自動車用主動力源としてではなく、シリーズハイブリッドにおける電力供給発電機駆動用補助エンジン、すなわちレンジエクステンダーへの転用だった。実際、RX-8の販売終了の後にデミオEVと組み合わせた試作モデルを公開している。

 そして2023年1月13日、満を持して量産市販化を前提としたロータリーエンジン・レンジエクステンダー搭載プラグインハイブリッド車である、マツダMX-30 e-SKYACTIV R-EVが公開され、2023年度中にはまずはヨーロッパ市場へ投入されることも発表された。

 かつての主動力源としてのロータリーエンジンとレンジエクステンダーとしてのロータリーエンジンは何が異なっていたのか。それこそがロータリーエンジン復活のポイントであり、要するにロータリーエンジンの可能性を極限にまで磨き上げた結果がレンジエクステンダーだった。

 一般にロータリーエンジンはローターが回転するに従って燃焼室形状が複雑に変化するため燃焼ムラが生じやすく、その結果として排ガス対策が複雑化し燃費の向上も難しいという構造的な欠点があった。

 しかしこれは回転数が運転状況と共に変化することが原因でもあり、例えばある一定の回転数で運転することで状況を改善することが期待できた。条件の良い一定回転での運転、すなわちレンジエクステンダーの様な補助動力源としての運転である。

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