マイカーの「完全自動運転」、やっぱり実現不可能? 大雨・降雪・障害物など課題山積、米スタートアップもお手上げか

キーワード :
, , ,
「CES2023」では、モビリティ分野、特に自動運転に注目が集まったが、その方向性には変化が見られた。自動運転の現状と合わせて解説する。

シャトルバスは着々

現状、オペレータ付きの自動運転レベル2での定常運行を行っている茨城県境町のシャトルバス(画像:会田肇)
現状、オペレータ付きの自動運転レベル2での定常運行を行っている茨城県境町のシャトルバス(画像:会田肇)

 その一方で、自動運転の実現が急速に進むカテゴリーがある。それがシャトルバスによる限られた走行条件下でのモビリティサービスだ。実は日本では、2023年4月1日より改正道路交通法が施行され、いわゆる自動運転「レベル4」での走行が解禁される。遠隔監視などの条件が課せられるものの、「特定自動運行」として、操作するオペレーターなしでの自動運転車を活用した走行が可能となるのだ。

 日本ではこの道交法改正を念頭に、すでにオペレーター同乗によるレベル2での実証実験が繰り返されてきた。中には、茨城県境町や北海道上士幌町のように、自動運転対応のシャトルバスの定常運行を実現する事例も登場し始めており、これを運行するボードリー(BOLDLY)は2023年度中に日本初となる市街地での自動運転レベル4でのサービスの実用化を目指すとしている。

 こうした動きは海外でも同様で、ドイツや米国でも道路交通法の改定や安全基準の修正を行い、シャトルバスや物流部門でのレベル4実現へ向けた目標を掲げている状況にある。

 ではどうして、シャトルバス等でレベル4の実現が先行するのか。それは走行状況が無限とも言えるマイカーに比べ、定常運行するシャトルバスなら走行経路や運行時間が限定され、対応がしやすいからだ。冒頭でも述べたように、マイカーでの自動運転を実現するハードルは極めて高い。かつては「マイカーで自動運転が実現すれば、公共交通機関は不要になる」という主張が多く出されていたが、ことを進めてみると実際はその逆だったというわけだ。

全てのコメントを見る