マイカーの「完全自動運転」、やっぱり実現不可能? 大雨・降雪・障害物など課題山積、米スタートアップもお手上げか
公道テストで課題次々と
それを如実に物語っているのが、自動運転の開発を目指したスタートアップ「アルゴAI」が2022年10月、事業清算の発表に至ったことだ。実はこの事業には、フォードやフォルクスワーゲン(VW)が5000億円を超える出資をするなどして、自動運転の開発を積極的に進めてきた経緯がある。当時、フォードはグーグルやウーバーなどが自動運転技術を開発する中で、それに追いつくために必死に投資を続けてきたのだ。
そうした中でアルゴAIも米国内での公道テストを繰り返し、その安全性には一定の評価を獲得していた。しかし、その中で得られたことは“完全自動運転を実現する道のりは、想像以上に長い”という現実でもあった。
実は、公道テスト1000万マイル(約1610万km)を達成して自動運転技術で先行するアルファベット傘下の「Waymo(ウェイモ)」にしても、万一のために現在もオペレーターが乗車して実験を行っている。しかも、大雨や降雪時など悪天候下では走行できないことや、路上に落ちている障害物の検知も十分でないなど、課題は山積みだ。
AFEELAにしても、完全自動運転について具体的な言及は一切ない。自動運転機能を搭載するにしても、あくまでホンダが「レジェンド」で実現した、渋滞時のレベル3にとどめ、あるいはハンズオフ走行が可能となるレベル2+での実現をアナウンスしたのみだ。さらに言えば、完全自動運転の実現をアップグレードでうたうテスラにしても、違法性を疑われて米司法省から捜査を受けている状況にもある。
こうした状況を踏まえ、各自動車メーカーの中には自動運転に対して、「今できることに専念する」という風潮が生まれつつある。それは、何が何でも完全動運転を実現するということではなく、運転支援を極めていく中で、その先に自動運転という目標を据えるという考え方だ。