マイカーの「完全自動運転」、やっぱり実現不可能? 大雨・降雪・障害物など課題山積、米スタートアップもお手上げか

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「CES2023」では、モビリティ分野、特に自動運転に注目が集まったが、その方向性には変化が見られた。自動運転の現状と合わせて解説する。

公道テストで課題次々と

公道テスト1000万マイルを達成して自動運転技術で先行するアルファベット傘下の「Waymo」(画像:会田肇)
公道テスト1000万マイルを達成して自動運転技術で先行するアルファベット傘下の「Waymo」(画像:会田肇)

 それを如実に物語っているのが、自動運転の開発を目指したスタートアップ「アルゴAI」が2022年10月、事業清算の発表に至ったことだ。実はこの事業には、フォードやフォルクスワーゲン(VW)が5000億円を超える出資をするなどして、自動運転の開発を積極的に進めてきた経緯がある。当時、フォードはグーグルやウーバーなどが自動運転技術を開発する中で、それに追いつくために必死に投資を続けてきたのだ。

 そうした中でアルゴAIも米国内での公道テストを繰り返し、その安全性には一定の評価を獲得していた。しかし、その中で得られたことは“完全自動運転を実現する道のりは、想像以上に長い”という現実でもあった。

 実は、公道テスト1000万マイル(約1610万km)を達成して自動運転技術で先行するアルファベット傘下の「Waymo(ウェイモ)」にしても、万一のために現在もオペレーターが乗車して実験を行っている。しかも、大雨や降雪時など悪天候下では走行できないことや、路上に落ちている障害物の検知も十分でないなど、課題は山積みだ。

 AFEELAにしても、完全自動運転について具体的な言及は一切ない。自動運転機能を搭載するにしても、あくまでホンダが「レジェンド」で実現した、渋滞時のレベル3にとどめ、あるいはハンズオフ走行が可能となるレベル2+での実現をアナウンスしたのみだ。さらに言えば、完全自動運転の実現をアップグレードでうたうテスラにしても、違法性を疑われて米司法省から捜査を受けている状況にもある。

 こうした状況を踏まえ、各自動車メーカーの中には自動運転に対して、「今できることに専念する」という風潮が生まれつつある。それは、何が何でも完全動運転を実現するということではなく、運転支援を極めていく中で、その先に自動運転という目標を据えるという考え方だ。

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