モータースポーツのプロ用カメラ、なぜ「キヤノン」の独壇場なのか? 各社比較を通して考える
充実したプロサポート体制

そしてキヤノンはスポーツ競技を記録すること、そのものが「当社のひとつの理念であり、ミッションであると自負」していると公式サイトや広告で宣言している。
これらのことから、モータースポーツにおけるプロサポート体制の充実ぶりは、その使用率同様にやはりキヤノンが圧倒的であるといえよう。
加えるなら、モータースポーツ業界は
「極めて閉鎖的な世界」
といわれる。メーカーやサプライヤーでさえ、新参者はもちろん一度撤退し再度復帰した場合でも、落ち着くまでに数年かかるともいわれている。瞬間的に「人・モノ・金」をつぎ込んでも、ベストなパフォーマンスを出すには、時間がかかる世界というわけだ。
このような状況では、この数年でミラーレス一眼分野においてトップになったソニー が、モータースポーツのプロ用カメラの使用率でも最上位となるためには、相当な年月が必要だと思われる。20世紀からの実績を持つキヤノンが相手であれば、なおのことだ。
また、一度プロサポートの規模を縮小したニコンが2023年から復帰したとしても、サポート体制が充実するのに、一朝一夕には行かないのではないだろうか。人的なリソースや、休日に行われるための内部の日程調整を再度スタートさせるため、過去とは違ったさまざまなハードルが想定される。
そして現在発売中のキヤノンR3というモデルは、この後、控えている真のフラッグシップへの布石であると、キヤノンユーザーの間ではうわさされている。それが事実なら、万全のサポートだけでなくハードウエアにおいても虎視眈々(たんたん)と次の準備を進めているようだ。
最新のスペックをクリアしながらも過酷な環境に耐える優れたハードウエアと、長年にわたって構築した充実したメンテナンス・サポート体制。それらにより、モータースポーツのプロ用カメラで、キヤノンの圧倒的な使用率は、しばし揺るぎそうにないのである。