モータースポーツのプロ用カメラ、なぜ「キヤノン」の独壇場なのか? 各社比較を通して考える

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ミラーレスカメラの需要が好調だ。2月のカメラ映像機器工業会の発表によれば、2022年デジタルカメラの世界出荷額は前年比39%増の6812億円。2年連続で前年を上回った。

充実したプロサポート体制

キヤノンのウェブサイト(画像:キヤノン)
キヤノンのウェブサイト(画像:キヤノン)

 そしてキヤノンはスポーツ競技を記録すること、そのものが「当社のひとつの理念であり、ミッションであると自負」していると公式サイトや広告で宣言している。

 これらのことから、モータースポーツにおけるプロサポート体制の充実ぶりは、その使用率同様にやはりキヤノンが圧倒的であるといえよう。

 加えるなら、モータースポーツ業界は

「極めて閉鎖的な世界」

といわれる。メーカーやサプライヤーでさえ、新参者はもちろん一度撤退し再度復帰した場合でも、落ち着くまでに数年かかるともいわれている。瞬間的に「人・モノ・金」をつぎ込んでも、ベストなパフォーマンスを出すには、時間がかかる世界というわけだ。

 このような状況では、この数年でミラーレス一眼分野においてトップになったソニー が、モータースポーツのプロ用カメラの使用率でも最上位となるためには、相当な年月が必要だと思われる。20世紀からの実績を持つキヤノンが相手であれば、なおのことだ。

 また、一度プロサポートの規模を縮小したニコンが2023年から復帰したとしても、サポート体制が充実するのに、一朝一夕には行かないのではないだろうか。人的なリソースや、休日に行われるための内部の日程調整を再度スタートさせるため、過去とは違ったさまざまなハードルが想定される。

 そして現在発売中のキヤノンR3というモデルは、この後、控えている真のフラッグシップへの布石であると、キヤノンユーザーの間ではうわさされている。それが事実なら、万全のサポートだけでなくハードウエアにおいても虎視眈々(たんたん)と次の準備を進めているようだ。

 最新のスペックをクリアしながらも過酷な環境に耐える優れたハードウエアと、長年にわたって構築した充実したメンテナンス・サポート体制。それらにより、モータースポーツのプロ用カメラで、キヤノンの圧倒的な使用率は、しばし揺るぎそうにないのである。

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