モータースポーツのプロ用カメラ、なぜ「キヤノン」の独壇場なのか? 各社比較を通して考える

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ミラーレスカメラの需要が好調だ。2月のカメラ映像機器工業会の発表によれば、2022年デジタルカメラの世界出荷額は前年比39%増の6812億円。2年連続で前年を上回った。

手にするまで数か月待ち状態

キヤノン「R3」(画像:キヤノン)
キヤノン「R3」(画像:キヤノン)

 このα9のブラックアウトフリーファインダーに驚いたのは、プロ用カメラではミラーレスに移行するのはまだ先では、と考えていたキヤノン、ニコンといった従来の一眼レフカメラメーカーである。

 そのためか、翌年の2018年夏には、両社ともにミラーレス一眼のボディーと専用の“新マウント”レンズ数本を投入する。不足するレンズラインアップは高性能レンズアダプターによって、自社の旧レンズを使用可能にしたものの、かなり性急ともいえる状態であった。

 そして3年後、延期となった東京オリンピック・パラリンピックを見据えてか、ソニーはフラッグシップと称して「α1」を2021年春に発売する。またキヤノンは同様な高性能機「R3」を、ニコンはフラッグシップとして「Z9」を、2021年秋に発売すると発表した。

 2021年夏の東京オリンピック・パラリンピックはちょうどその中間のタイミングとなりソニーはα1の本番製品で、キヤノンはR3、ニコンはZ9のテスト製品で現場に臨んでいたといわれる。

 そして驚くことに、これらボディーだけで60万から80万以上するプロ用の機種が、コロナ禍による不景気のなか、予約だけで早々に販売予定数を超えた。世界中で需要が高まっていたのに加え、おりからの半導体不足の影響もあり、2022年に入っても手にするまで数か月待ちという状態が続いた。

 ここまでの経緯で考えれば、ミラーレス一眼ではソニーが先駆者であり、圧倒的に速い速度で成長しているのである。そうであれば常に高い性能を求めるスポーツ&モータースポーツのプロカメラマンの使用率で、もっとソニーのシェアが高まっていても良いのではないかと思われる。

 しかし、実際にはキヤノンがミラーレス一眼でも使用率1位であり、フラッグシップの「Z9」の好調で、低迷していた業績を立て直したニコンのシェアもキヤノンから水を空けられたままだ。

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