モータースポーツのプロ用カメラ、なぜ「キヤノン」の独壇場なのか? 各社比較を通して考える

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ミラーレスカメラの需要が好調だ。2月のカメラ映像機器工業会の発表によれば、2022年デジタルカメラの世界出荷額は前年比39%増の6812億円。2年連続で前年を上回った。

五輪取材カメラマンの半数以上が使用

デジタルカメラ生産出荷の2022年年間実績表(画像:カメラ映像機器工業会)
デジタルカメラ生産出荷の2022年年間実績表(画像:カメラ映像機器工業会)

 この変化はちょうど10年前、2013(平成25)年にフルサイズミラーレス一眼の「α7」をソニーが発売してから始まった。

 露出結果がファインダーや液晶画面で事前に確認できるなど、誰もが感じる使いやすさ、そして軽量・コンパクトなことが主な理由で、従来のミラーが付いているデジタル一眼レフカメラからミラーレス一眼へ、この数年で急速に代替が進んでいる。

 フルサイズのミラーレス一眼は当初、バッテリーの持続時間、撮影可能枚数が従来のデジタル一眼レフカメラの半分以下、レンズ本数も少ないなどが弱点とされていたが、それらの課題も徐々に解決してきた。その結果、ソニーのαシリーズは2020年、米国のAP通信に世界で正式導入されるに至っている。

 しかし、スタジオ撮影や通常の報道取材とは違い、瞬間を捉え続けるハードな環境が伴うプロのスポーツカメラマンの使用率では、いまだに異なる結果となっている。

 その良い例として、あるウェブサイトで2021年開催の東京オリンピックを取材したプロカメラマンは

・キヤノン:59.7%
・ニコン:31.2%
・ソニー:9.1%

という調査結果(352人を対象)が報告されている。加えてキヤノンの公式サイトでも約55%という報告がなされていることから、キヤノンの使用が過半数であることは間違いない。

 さらにハイスピードが求められ、灼熱(しゃくねつ)の炎天下でも、また凍えるような寒い大雨の日でも使用されるモータースポーツの世界ではどうだろうか。そこでは、さらにキヤノンが多く使われているようだ。

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