タクシー業界でも「2024年問題」到来 “働き方改革”とか言ってるが、本当にドライバーのためになるのか?
「2024年問題」が物流業界で話題となっているが、同じタイミングでタクシー業界にも変化がある。起こり得ることを考えてみた。
タクシーが少ないのにまた減る?
これまで、タクシー運転手などの自動車運転業務は、いわゆる「36協定」の特別条項が抜け穴となって、上限なく時間外労働を行わせることができた。つまり、労使協定を結んでしまえば、月150時間だろうが、月200時間だろうが、残業させても違法ではなかったのだ。今後は上限規制を破ると、罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金となる可能性がある。企業規模には関係なく、上限規制が適用される。
タクシー運転手を含むドライバーの健康を気遣ってもらえるのは、ありがたい面はある。ただ、一方で心配にもなる。
ひとつは、街中からタクシーが少なくなったのに、これでまたタクシーが減るのではないか、ということだ。乗務員の時間外労働規制によって、1人が稼働できる時間が減る。タクシー運転手の人手不足が解消されないままなら、利用客に影響が出るのは間違いないだろう。今でも利用客の多い通勤時間帯や雨の日は「タクシーがつかまらない」とよく言われるのに。
特に、墨田区、荒川区、江戸川区、練馬区などは、駅待ちするタクシーがとても少ない。これらの地域で少ないのは、稼働しているタクシーが、客の多い都心にどんどん入ってくるからだ。筆者が得意としている大田区、品川区でもタクシーが少ない。これまで品川駅の客待ちタクシーの行列は、半端ではない長さだったが、今はほとんど見かけなくなった。
もうひとつは収入面だ。労働時間が短くなれば、売り上げ、運転手の収入も減る可能性がある。もちろん2024年に設定される上限を超えて働いていた人ばかりではないだろうから、一概には言えないが、心配ではある。