空飛ぶクルマの墜落を防ぐ! 知られざる「風の可視化」技術をご存じか

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2025年に大阪万博で本格的に実用化予定の空飛ぶクルマ。導入が進めば、私たちの暮らしは飛躍的に便利になるだろうと想像する一方で、落下のリスクをどうしても考えてしまう。

ドップラーライダーとは何か

東京国際空港に設置されている空港気象ドップラーライダー(画像:気象庁)
東京国際空港に設置されている空港気象ドップラーライダー(画像:気象庁)

 ドップラーライダーとは、ドップラー効果を利用して、風向・風速を測定する装置だ。単一周波数のパルスレーザー光を空間に送信して、大気中に漂う1/10~数μのエアロゾル(土壌粒子や自動車などから排出される汚染粒子などの微細な塵)の動きを捉えた散乱光を受信する仕組みとなっている。

 従来のレーダーでは、雨滴や雲のないときは風の測定ができなかったが、この装置は晴天時でも上空の風速や風向きを測定可能で、積乱雲などが引き起こす風の急変域も検出できる。

 三菱電機(東京都千代田区)が開発する空港気象ドップラーライダーは現在、東京国際空港をはじめとする空港の風況把握等に使用されているほか、中国や欧州など世界各国の空港にも納入されている。

 そして同社は今、長年培ってきた風況計測技術に、ソフトウエアと人工知能(AI)を掛け合わせたソリューションを開発中だ。計測した風況データを、グラフ化または地図上にカラーリングすることで可視化し、さまざまなビジネス領域の課題解決につなげる。そのひとつが、空飛ぶクルマ市場。離着陸場上空と周辺の風況測定や、航路の実現性の調査などに利用できる。

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