鉄道愛好者団体もお墨付き 「箱根登山鉄道」はなぜ長年愛され続けるのか?
箱根登山鉄道のほかにも有名な登山鉄道がある

日本には険しい山が多く、箱根登山鉄道のほかにも勾配の急な斜面を登ることが可能な鉄道がいくつかある。箱根登山鉄道、富士急行や大井川鐡道、叡山電鉄、南海電気鉄道、神戸電鉄の6社で「全国登山鉄道‰(パーミル)会」を結成している。
同会とは、沿線付近に観光地が存在する鉄道会社が、共同で旅客誘致を図るチームアップ団体である。箱根登山鉄道と合わせて6社間で乗り比べするのも面白いだろう。
例えば、富士急行は高原列車で「フジサン特急」や「富士山ビュー特急」、「富士山登山電車」を運行して多くの外国人旅行者が利用している。座席から眺望する富士山は絶景である。
同じく静岡にある大井川鐡道は、SLや「きかんしゃトーマス号」、近鉄特急だった16000系で知られている。日本で唯一のアプト式ということでも有名で「南アルプスあぷとライン」と呼ばれている。
アプト式は2本のレールの真ん中にラックレールを敷き、列車の床下に設けられた歯車をかみ合わせたラック式鉄道の方式のひとつで、ラック式の中でもかみ合わせを強化したものを言う。かなりレアなのでマニアが集う鉄道だ。
続いて、関西地区。叡山鉄道は京都市街の出町柳駅と八瀬、鞍馬(くらま)を結ぶ電鉄だ。叡山鉄道鞍馬線の900系きららで市原駅と二ノ瀬駅間の「もみじのトンネル」や「貴船もみじ灯篭(とうろう)」の期間中はライトアップが実施される。
南海電気鉄道は日本最古の私鉄で大阪市浪速区の汐見橋駅から和歌山県高野町の極楽橋駅までを結ぶ鉄道だ。山岳路線は橋本駅から極楽橋駅間で単線である車両は南海30000系特急「こうや」、4人掛けコンパートメント座席の展望列車「天空」だ。
そして神戸電鉄の有馬(ありま)線は六甲山地を越えて神戸と有馬温泉を結ぶ鉄道である。全線69.6kmの8割以上が勾配で最大勾配50%とまさに登山鉄道だ。
箱根登山鉄道は長年、多くの利用者から親しまれ愛されてきた鉄道路線だ。日本唯一、本格的な登山鉄道の魅力を味わえる地域でもある。箱根登山鉄道に新型車両の導入で、ますます活気に満ちた登山鉄道になりそうだ。