鉄道愛好者団体もお墨付き 「箱根登山鉄道」はなぜ長年愛され続けるのか?

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箱根登山鉄道は箱根町の雄大な自然の中を駆け抜けながら、移りゆく風景や季節を思う存分に満喫できるため、年間を通して多くの観光客でにぎわいをみせている。本記事では、同線の魅力について考察する。

「アレグラ号」の由来

ホームに並ぶアレグラ号。写真右(画像:写真AC)
ホームに並ぶアレグラ号。写真右(画像:写真AC)

 特に宮ノ下駅手前を通る3000形「アレグラ号」は、全国規模の鉄道愛好者団体「鉄道友の会」で優秀と認めた車両に対して贈られる「ローレル賞」を受賞している。

 アレグラ号には車両の両端に運転席を持つ1両運転の3000形以外に、車両の片側に運転席がある2両編成タイプの3100形も存在し、2種連結の3両での走行も可能だ。ちなみに、アレグラという名前は箱根登山電車が姉妹提携するスイス・グラウビュンデン州のレーティッシュ鉄道の地元で使われる、あいさつ言葉である。

 アレグラ号の外観は、箱根の四季の景観にも呼応する深い緋(ひ)色やあかね色をベースとした「バーミリオンはこね」を基本色に、登山電車として力強さをシルバー色で表現、前面と側面に配色。また、床から天井面にいたる縦にのびた展望窓を取り付けたことで、深い谷から遠方の山々まで見渡せるように設計されている。

 また、緑の木々のなかを巡る感覚を持てるよう、天井の仕上げやつり革・照明なども控えめにデザイン。さらには運転席と客席間の仕切りには透明性を持たせた大きなフロントガラスを取り付けている。

 また、3100形では連結部分の窓を乗客用に大型化されたことも魅力だ。大型の車窓からは半径30mという急カーブの走行シーンや橋の下に広がるスリリングな景色が見渡せてより楽しめる仕様になっている。「天下の険」とも言われる箱根山の壮大さを肌で実感できる登山電車らしい乗り物だ。

 急カーブを「く」の字状に折れ曲がりながら駆け上がる場所では、2両の車両が連結している部分が折れ曲がり大きな窓で眺める絶景は格別だ。箱根登山鉄道の旅の情景を臨場感満点で楽しんでいただけるように配慮されている。

 実際にアレグラ号に乗った人の中からは

「橋の下に広がるスリリングな景色が見渡せ、スリル満点」
「運転士さまの後ろからの前面展望を楽しめる」

などの声があがり、興奮冷めやらぬ様子である。

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