運送会社が今こそ強化すべき「営業力」 あなたは、理不尽な荷主に「お断りします」と言えるか?

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「なぜ運送会社に営業担当者が必要なのか」、端的に言えば「無理難題を強要する荷主から逃れるため」である。仕事を選べない運送会社は、不平不満と行政処分への恐怖を抱えながら今の仕事を続けるしかない。

生き残るため「営業力」を

トラックのイメージ(画像:写真AC)
トラックのイメージ(画像:写真AC)

 そもそも、「物流の2024年問題」についても世の企業の半数は知らないというアンケート結果もある(経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」より)。運送会社の苦悩など、多くの人は知らないのだ。

 だが現に、「仕事を断ることができない」運送会社がある。営業担当者もおらず、営業力もないから、今の仕事を断ることができない。選択肢がないのだ。

 運送業界にはびこる多重下請け構造は、運送ビジネスが抱える重大な課題のひとつとされている。そして、悪いのは一次請けだとする見方が多い。

 しかし、先のエピソードに関して言えば、1次請けのC社、2次請けのB社を悪者と決めつけるのは早計だろう。むしろ、B社、C社はA社を救おうとして手を差し伸べた側である。A社が3次請けになったのは、これまでA社が営業担当者を育成せず、営業力強化を後回しにしてきたツケを支払わされた結果と考えるべきだ。

 筆者は先日、「運送会社は結局、荷主のコマなのか? 意見すれば『順番飛ばし』の嫌がらせ 政府ペナルティー方針発表も 2024年問題乗り切れるのか」(2023年2月8日配信)という記事を書いたが、その後の動向を見ていると、荷主へのペナルティー制度実現までには、まだ時間がかかり、なおかつ実効力のある制度になるかどうか、先行きが怪しくなってきた。

「荷主の言いなりになっていたら、行政処分を科されました」、こんなばかばかしいことはないのだが、この状況が改善される見通しは明るくない(少なくとも、まだしばらく時間がかかりそうだ)。

 だから、すべての運送会社は営業を行い、新規顧客を開拓できる能力を身に付けてほしい。そして、無理難題を要求してくる荷主に対し、「あなたの仕事はもうできません」と断る選択肢を持ってほしい。倉庫会社も同様である。

 簡単ではない。

 だが、今後運送会社や倉庫会社が生き残っていくためには、営業力を強化することが必須なのである。

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