鉄道業界はなぜ「人手不足」「人あまり」が同時発生するのか? その構造から考える

キーワード :
,
鉄道事業者は「人手不足」で求人がよく行われているが、一方では、人余り」も起きているようだ。なぜそのような事態が起きるのか、解説する。

大量定年退職で人員がかつかつに

列車の運転席(画像:写真AC)
列車の運転席(画像:写真AC)

 鉄道業界、その中でもJR各社は、1987(昭和62)年の国鉄分割民営化の頃に採用を手控えており、その年齢層の人員が極端に少ない。それよりも上の年齢層には多くの人がいたが、定年退職が進み、一気に人がいなくなった。 職場でリーダーシップを取るべき人が、なかなかいない状況になっている。

 鉄道事業者の採用は、多くの鉄道が民営事業者ということで、時代に左右されるようになっている。好景気のときには多く新卒を採用し、不景気のときには採用を少なめにするのが原則だ。

 民営化したJRが発足した時代はバブル期だったものの、国鉄時代の人員を多く抱えていたため、新人を採用することは難しかった。その後、長期の不況が続いた。

 バブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災と、この国では苦しい状況が続いた。鉄道事業者によっては、駅業務などの現業職の子会社化や、非正規職員の採用という手段で人手不足を乗り切った。一定の条件を満たした場合に本社正社員にするとしていたが、なれない人も多かった。

 そういったことを繰り返している間に、若年層の人口がどんどん減っていった。現在では、若い人たちは奪い合いになり、雇用条件もよくなっている。

 JR東日本に至っては、自己都合で退職した人に再び入社してもらおうとする求人を行っている。会社に不満があってやめたケースも多いことは容易に想像できるにもかかわらず、そういった人を対象に募集をしないと人手を賄えないことが現実として起こっている。

 いま、鉄道事業者は以前に比べて入社しやすい状況になっている。しかし、鉄道事業者は別の困難を抱えている。

全てのコメントを見る