小池都知事の黒歴史 「2階建て通勤電車」構想とはいったい何だったのか? 電車以上に速かった寿命を振り返る
通勤電車に2階建て車両を導入する構想が2016年に盛り上がった。しかし今や影も形もない。いったい何だったのか。
公約の裏にあったやり取り

コロナ禍が一段落し、通勤通学ラッシュも再開し始めている。そんななか、ふと思い出されるのが、小池百合子東京都知事がかつて政策として掲げた、「通勤電車に2階建て車両を導入する」構想だ。最近は都心と湾岸を結ぶ地下鉄新線や自転車の普及など、次々と新たな交通政策を掲げる小池都知事だが、この計画はどこへ行ったのか。
小池都知事がこの構想を打ち出したのは、2016年の都知事選に出馬の際だった。このとき、掲げた公約のひとつが
「時間差出勤などで満員電車ゼロ」
だった。
「時差出勤など」となっているが、選挙期間中の小池都知事が強調したのは「など」の部分で、結果、通勤電車に2階建て車両を導入して混雑緩和を図ろうとなった。
公約は注目されたが、多くの人は実現できないと見ていた。このアイデアの裏にいたのは、JR東日本OBで交通コンサルタントの阿部等氏だった。
次世代型路面電車(LRT)構想関連のイベントで小池都知事と知り合ったという阿部氏は2008(平成20)年に『満員電車がなくなる日』(角川SSC新書)という著書を出版している。その本の帯には「小池百合子衆議院議員推薦!」の文字が躍っていた。選挙告示前、その阿部氏のもとに
「満員電車の件は公約に入れるつもりです。ご指導ください」
とメールが届いたのが、2階建て車両導入の構想が公約として掲げられた発端だった。