JR東日本も注力! 駅のメタバース化は新たな「拠点性」を生み出せるのか? コロナ利用者減で考える

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2022年ごろからJR東日本をはじめとして、駅のメタバース化が見られるようになってきている。利用者が落ち込む駅に、どのような可能性を与えるのか。

遠方に住む人へのリーチ可能に

「池袋ミラーワールド」のウェブサイト(画像:テレビ東京)
「池袋ミラーワールド」のウェブサイト(画像:テレビ東京)

 JR以外でもメタバース化する駅が見られる。

 2021年3月よりテレビ東京はサンシャインシティやクレディセゾン、東武鉄道など10社の企業とともにバーチャル池袋を展開、池袋や大塚の地元企業やスタートアップ企業が集まり、バーチャルとリアルがつながるコミュニティー「池袋ミラーワールド」を開設している。

「バーチャル池袋駅」は池袋ミラーワールドのスタート地点となっており、メタバース内のサンシャインシティや池袋西武などに移動することができる。バーチャル池袋駅は東武鉄道が監修した。

 観光地やレジャー施設などの集客施設がメタバース化すれば、遠方の人や時間のない人が気軽に利用でき、

「普段利用しない人へのプロモーション」

が期待される。さらにオンラインショップやNFT発行などによる収益化や、ファン・エンゲージメントの活発化など、さまざまな効果の可能性がある。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような危機も考慮すれば、利用者のバーチャルな受け皿として、メタバースの意味があると言える。しかし、駅は人の集まる場所ではあるものの、これらの集客施設とは異なるだろう。

駅は新たな拠点性を持てるか

都内の駅イメージ(画像:写真AC)
都内の駅イメージ(画像:写真AC)

 今回のコロナ禍では行動規制・自粛などによって利用者が激減し、鉄道事業者は大きな打撃を受けた。さらにリモートワーク・リモート会議が急速に普及し、コロナ収束後もある程度は継続される見込みがあることから、通勤・出張などの需要は元通りには戻らないと考えられている。

 鉄道事業者としては新たな収入源を確保しなくてはならない状況にあると。メタバースの収益性については未知数の部分が多いが、今後の可能性を期待して先鞭(せんべん)をつけたかったと言ったところもあるだろう。

 駅は地域の交通拠点として機能して、駅や駅周辺は人が集まることからビジネス面・商業面において拠点性が高かった。この高い拠点性はさまざまな方面に大きな影響力を持つ。

 しかし、オンライン社会において、徐々にこのリアルの拠点性は揺らいできていると言える。事業体力のある鉄道系グループが先行してメタバースを開設することにより、地域の中小企業やスタートアップ企業のオンラインでの活動が活発化されることにつながれば、新たな拠点性も生まれるのかもしれない。

 駅がオンラインにおいてもさまざまな人が集まりつながっていく地域のハブとして機能していくかどうか、取り組みに注目したい。

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