日本より厳しいコロナ「ロックダウン」でも ロンドン交通局が“バス大量廃線”を免れたワケ
コロナ禍で都市交通が苦境に陥ったのは、日本もイギリスも同じだ。ロンドン交通局の危機を振り返る。
パンデミックで乗客減、東京とロンドンの都市交通
2023年2月、東京メトロは都営地下鉄との運賃一元化計画を保留することを明らかにした(2023年2月11日付『日本経済新聞』)。コロナ禍前に比べ2割減の乗客数では、さらに大きな減収を招く運賃設定は難しい。設備投資計画の見直しも必要な状況とされている。
乗客減につながるリモートワークが浸透したのは、海外でも同様だ。いまも乗客数2割減で推移する地下鉄やバスを擁するイギリスのロンドン交通局では、どのようにして減収に対処しているのだろうか。
2020年3月にイギリスで最初の「ロックダウン(都市封鎖)」が行われた際、ロンドン交通局の乗客は、地下鉄が95%減、バスは85%減まで落ち込んだ。
パンデミック前、ロンドン交通局は運営予算の70%以上が運賃収入と優秀で、国のサポートも要らない状況だったが、それがあだとなる。
パンデミック後、運賃収入を補うため、政府からの資金提供が何度かあったが、ロンドン市長のサディク・カーン氏は2021年11月、追加の資金提供がない限り、
「100以上のバス路線を廃線にし、地下鉄の本数を減らす。場合によっては地下鉄の全路線を閉鎖することさえありうる」
と訴えた。その後の流れを追ってみたい。