誕生が早すぎた? アイディア満載、先進セダン「スバル1000」の閃光記憶

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1960年(昭和35)年12月5日、先にスバル360という大ヒット作を軽自動車市場に送り込んでいた富士重工(現SUBARU)は新しい小型乗用車プロジェクトをスタートさせた。

最終型「ff-1/1300G」登場

スバル1000の透視図(画像:SUBARU)
スバル1000の透視図(画像:SUBARU)

 1969(昭和44)年3月、スバル1000は1100の排気量を誇示していたライバルのカローラに追随するため、排気量を1088ccにアップしff-1となった。この措置により最高出力はシングルキャブが62hp、ツインキャブが77hpにアップした。こうしてスバルff-1は新たに余裕を得たことで、さらに使えるセダンとなったのである。

 スバル1000シリーズの最終型といえるのが1970年7月にデビューしたff-1/1300Gである。排気量を1267ccへとさらにアップした1300Gはツインキャブのスポーツセダン用でついに93hpという最高出力を得た。ハンドリングとパワーがバランスをとり、しかも730kgと軽量だった1300Gスポーツセダンは国内ラリーで一躍有力マシンとなった。

 ここでのライバルは三菱ギャランGSや日産ブルーバードSSSといった明らかにクラスが上の猛者たちであり、1300Gはこれらの強敵と事実上互角の走りを見せたのである。スバル1000とそこから派生した兄弟たちは、明らかに生まれるのが早すぎた。

 ファミリーセダンとしてのスペース効率に加え、前輪駆動ならではの優れた動力性能というFF小型セダンとしてのその正しい資質は、現代でも決して色あせてはいない。

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