「ノーマスク = 強制下車or逮捕」の時代は終わった? 新型コロナ3年、ヨーロッパの現在地とは
新型コロナウイルスのヨーロッパでの感染対策は、一時期、日本よりも厳しかった。当時を振り返る。
席が「半分」の列車も
ドイツがルール撤廃となったことで、ヨーロッパ域内でマスク着用義務が残ったのはスペインだけとなったが、そのスペインもドイツの後を追うように2023年2月7日限りで撤廃、ヨーロッパにおけるマスク着用義務の時代は終焉(しゅうえん)を迎えた。
マスク着用は最後まで残った法律だったが、新型コロナが流行し始めた頃には、それ以外にもいくつかルールがあった。当時は未知のウイルスで、各国政府や保健機関も試行錯誤の末の決定だったと思う。例えば運転士をウイルスから守るため、各列車の運転席の背後、最前部のドアより前側は立ち入り禁止となり、ロープが張られて規制されていた。トラムやバスの前部ドアは締め切りとし、後部ドアからのみ乗降可能となっていた。
イタリアなどいくつかの国では、車内が満席にならないように、また乗客同士の間隔を可能な限り保つため、片側2列の座席では列ごとに窓側と通路側が交互に予約されるように設定され、もちろん隣同士に座ることは家族以外では禁止された。つまり、予約可能な席は全ての車両で半分となるわけで、そうとは知らずに乗車当日の朝の列車を予約しようとしたら、午後まで満席と言われたこともあった。
マスク義務が撤廃され、座席予約などの制限が解除された今では、「こんな時代もあった」という思い出として語られるに過ぎない話となりつつあるが、できればもう二度とこのような不便な時代が訪れないでほしいと切に願っている。