「ノーマスク = 強制下車or逮捕」の時代は終わった? 新型コロナ3年、ヨーロッパの現在地とは

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新型コロナウイルスのヨーロッパでの感染対策は、一時期、日本よりも厳しかった。当時を振り返る。

国によって違ったルール

チェコのトラムの乗降口。マスク着用を促すステッカーが貼られた(画像:橋爪智之)
チェコのトラムの乗降口。マスク着用を促すステッカーが貼られた(画像:橋爪智之)

 これが他の国ではどうか。筆者の住むヨーロッパでは、比較的最近までマスク着用が義務付けられていた国も多く、車掌の指示に従わない場合は次の駅で強制下車をさせられ、状況によっては警察へ通報され逮捕、という厳しいルールがあった。車内では、「マスク非着用者は次の駅で下車させる」という案内放送まで流されていた。

 マスクも、日本のドラッグストアで販売されているような、風邪や花粉症などに使う一般用はNGで、N95マスクもしくは(N95マスクに相当する)FFP2マスクでなければ認められず、もちろん持ってくるのを忘れた、という理由も通用しない。強制であり、法で決まっているから、従わなければ逮捕される可能性もあるので、文句は言っても全員が着用する。

 ただ裏を返せば、そのくらいの強権がなければ指示に従わない人が多い、ということでもあるだろう。新型コロナが流行する前、いつもマスクをしている日本人の姿を見て笑っていた人たちなのだから、マスク着用には抵抗があったと思う。

 これがヨーロッパ全体で同じルールなら、特に問題はなかっただろうが、国によってルールが異なり、国際列車で国境を越えた瞬間にルールが変わるため、ややこしいことになる。

 筆者の住むチェコ共和国は、比較的早い段階でマスク着用の義務がなくなり、普段の生活でマスクを付ける習慣がなく、ポケットに入れて持ち運ぶこともないのだが、隣のドイツは2023年2月1日になってようやく公共交通機関のマスク着用義務が撤廃されたほど、ギリギリまでマスク着用が残っていた国で、国際列車の移動でうっかりマスクを忘れ、冷や汗をかいたことが2度あった。幸いなことに、いずれもそばに座っていた男性が予備の新品マスクを持っていて、譲ってくれたため事なきを得たが、もし助けがなければ次の停車駅で下車させられていた可能性もあった。

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