「ノーマスク = 強制下車or逮捕」の時代は終わった? 新型コロナ3年、ヨーロッパの現在地とは
新型コロナウイルスのヨーロッパでの感染対策は、一時期、日本よりも厳しかった。当時を振り返る。
日本は「お願い」ゆえにトラブルも
今なお、私たちの生活に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は影を落としている。最近、ようやく規制緩和の動きが出てきて、3月13日にはマスク着用推奨の場面が大幅緩和されるが、これまでは日常生活でマスクを強いられ、感染予防のためのワクチン接種も推奨され、条件を満たしていなければ行動に制限がかけられる可能性もあった。特に密室となりやすい交通機関は、新型コロナウイルスまん延後、真っ先にマスク着用の対象となった。
ただし、日本では制限された場所でのマスク非着用者に対して、法的な処罰を設けることがなかったため、原則的には各交通機関事業者は乗客に対する「お願い」という形でしか対応することができなかった。この曖昧な「お願い」が、結果として車内でのトラブルへと発展する結果となった。航空機内ではマスク着用を巡って乗客と客室乗務員がトラブルになり、傷害事件に発展した事例もあった。
マスク着用の医学的根拠について、筆者(橋爪智之、欧州鉄道フォトライター )は専門家ではないため、その効果のほどについて語るだけの知識は持ち合わせていない。従ってマスク着用の是非を問うつもりは毛頭ないが、個人的な見解と前置きをした上で話をすれば、事業者側からお願いをされているのであれば、国内移動だけならそれほど長時間ではないのだから、嫌でも我慢をして、現場での指示に従った方がよいのではないかと考えている。日本の場合、法律として定められているわけではなく、事業者からのお願いという形だから、トラブル発生の温床となるし、反感を買う可能性も高くなってしまう。