赤字に悩んだ国鉄、さらなる追い打ちをかけたのは「黄色いもの」だった! 21世紀まで続いた旧式トイレ事情をご存じか

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赤字に悩まされた国鉄は「黄色」いものにも悩まされていた。列車のトイレ問題の歴史を振り返る。

保線作業員も苦悩

保線作業のイメージ(画像:写真AC)
保線作業のイメージ(画像:写真AC)

 この汚水を浴びるのは沿線の人々だけではない。当の国鉄職員も同様であった。1968(昭和43)年に当時の国鉄労働組合全国施設協議会では『国鉄糞尿譚』という新書版100ページ余りの小冊子を制作している。この小冊子のサブタイトルは「沿線に飛び散る垂れ流しの罪科」だ。

 この冊子では1967年の統計年報をもとに、一日に列車から垂れ流しされる汚物の量を推計して、「毎日毎日、二千トンの大便と、145万リットルの小便とが、あたりかまわず撒(ま)き散らされている現実は、隠すことのできない絶対の事実である」と記している。さらに当時の国鉄車両数をもとに「撒き散らす1万9千の動く便所」という記述も。

 その被害に遭うのは職員の中でも保線作業員だ。冊子の中では、汚水のしぶきを浴びながら作業するという不衛生な環境で、退職する者も絶えないことを挙げ、トイレを改善しなければ安全運行にも支障が出ると国鉄当局に改善を要求しているのだ。

 なお、冊子には、車内で乗客が窓を開けるとしぶきが飛び込んでくるので、食事中は窓を開けるべきでないということも記されている。当時は窓を開けて車窓を楽しむだけでも危険だったわけだが、トイレが垂れ流しのままでは伝染病がまん延することを危惧する声も大きかった。

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