MSJ開発中止の衝撃 代替の飛行機どうなる? 小型ジェット旅客機世界市場の行方とは
三菱重工業が国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット」の事業撤退を発表した。気になるのは、すでに受注済み約270機の納入先として決まっていた航空会社の対応だ。
ANAが25機を発注
三菱重工業が2月7日に発表した、国産ジェット旅客機「三菱スペースジェット」(MSJ、旧称MRJ)の事業撤退は、国内外の航空業界などに衝撃を与えた。
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当初、2013年に量産型の初号機を納入予定だったが、6度の延期を経て、ついに開発中止となった。
気になるのは、すでに受注済み約270機の納入先として決まっていた航空会社の対応だ。
全日本空輸(ANA)は2008(平成20)年に25機(確定15機、オプション10機)の購入を発表し、準備でき次第、ローンチカスタマー(世界初の発注会社)としてMSJの初号機を受け取るはずだった。一方、日本航空(JAL)も2015年に32機を確定発注していた。
小型ジェット機はほぼフル稼働
三菱重工業は開発当初、小型の短距離向け旅客機「リージョナルジェット」の国際的な需要が、この先20年で5000機以上あると予測し、官民一体で事業化を目指していた。
リージョナルジェットのリージョナルとは「地域」という意味で、主に近距離を飛ぶ、座席数100席未満の小型ジェット旅客機のことを指す。
国内外の航空業界は、2020年春からの新型コロナウイルス禍で、大きな打撃を受けた。その間、航空需要が減って大型機などを売却する航空会社が続出。その一方、小型ジェット機やプロペラ機などは、ほぼフル稼働の状況となった。
座席数が少なく、近距離のみの移動というニーズを満たすのに、このサイズの飛行機は最適である。コロナ後に大型機での運航も再開してはいるものの、小型機のニーズは減っていない。