「人間は交通事故を必ず起こす」 こんな失敗前提に立った最先端の安全対策「ビジョンゼロ」をご存じか【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(9)

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「人間は交通事故を起こしてしまう」という事を前提に、たとえ起こったとしても「重傷化させないための道づくり」を推進する交通政策「ビジョンゼロ」を解説する。

ヒューマンエラーを前提に

自動車が行き交う道路を歩行者専用空間に再編したタイムズスクエア(画像:牧村和彦)
自動車が行き交う道路を歩行者専用空間に再編したタイムズスクエア(画像:牧村和彦)

 例えば、自転車と歩行者、自転車と自動車の交錯による重傷事故を削減するため、車道と完全分離した自転車レーンを増設し、車道1車線を自転車レーンに転換していく取り組み、自動車の左折による歩行者や自転車との巻き込み事故を削減するため、左折時の歩行者横断安全保護用の小島の設置や防御用のポールを設置する取り組み、車道1車線を短時間乗降スペースとし、それにより生み出された交差点部の空間を歩道とすることで、横断歩道の距離を短くする取り組みなど、いずれも交差点部などで自動車の速度を道路のデザインで自然に抑止させるビジョンゼロの精神に沿った取り組みだ。

 たとえ運転手がヒューマンエラーを起こしたとしても、歩行者の重傷化を道路で守るという発想だ。また、児童の事故対策として、スクールゾーンへのスピードカメラ設置も積極的に進めてきた。

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