信号見落としの原因は注意力でなく「目」? 自覚しにくい視野障害 40歳以上は5%が緑内障

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視野障害があるとクルマの運転はできないのか。SIP自動運転セミナー「視野障害と自動運転の交叉点」がオンラインで開催された。自覚されづらい視野障害を早く発見し、安全に運転し続けるにはどうしたらよいか。

視力はあっても視野は免許で規定がない

 講演で高橋氏は、視野障害をめぐる医療体制や再生医療、日本の自動車運転免許制度は視力の規定はあるが、両眼の視野が条件をクリアしている場合、視野の規定はないといったことなどを解説した。

 國松氏は、自身の勤める医療機関の「運転外来」を紹介。視野障害のある人に、見えていないところを確認してもらい、安全運転やQOL(Quality of Life)の向上につなげてもらうのが狙いだ。視線追跡装置の付いたドライビングシミュレーターで疑似的に運転してもらったあと、視野検査の結果も踏まえながら、目の症状と運転時に注意すべきことなどについて医師の説明を受ける。

 受診した患者の中にはトラックドライバー歴の長い人や営業の仕事でクルマを使う人もいたが、原因や危険性が分かったため、運転スタイルや業務内容を見直すきっかけになったという。

 自動車メーカーには、信号機や飛び出しの存在を運転手に知らせる音声アシストや通知システムの開発を提言した。

 高橋氏は、視野障害の自覚のある人は、むしろ運転は慎重な場合が多いと、その印象を語る。不幸にも事故を起こしてしまった人もいるが、運転外来のドライビングシミュレーターの景色は実写ではなくアニメーション風に作られているため、事故時のフラッシュバックが生じる可能性も低く、現場で使いやすいとする。

 國松氏は、視野障害のうち有病率の高い緑内障は、早期に発見できると一生自覚がなくても過ごせる可能性があるという。家族・親族での病歴も留意してほしいとしたうえで、「保険に入る感覚で目の状態を知っておいてほしい」と呼び掛ける。

 視野障害は進行性であるため、早期発見と早期治療、そして治療の継続が重要であることを強調した。