路線わずか11km! でも、静岡鉄道が「地方鉄道の革命児」と呼ばれるワケ

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静岡鉄道は地方の中小私鉄ながら、革新的な取り組みを続けている。そうした取り組みを連発してきたため、地方鉄道らしからぬ存在感を発揮してきた。

地方私鉄初のオールステンレス車両導入

新静岡~新清水間を走る静岡鉄道(画像:(C)Google)
新静岡~新清水間を走る静岡鉄道(画像:(C)Google)

 そうした多くの鉄道事業者があるなか、静鉄は中小私鉄に区分される。規模は小さく、しかも東京圏や大阪圏といった大都市圏に路線を有しているわけでもない。地方都市のみで走る静鉄は、決して鉄道業界で目立つ存在ではなかった。

 しかし、地方の中小私鉄ながら静鉄は革新的な取り組みを続けている。そうした取り組みを連発してきたため、地方鉄道らしからぬ存在感を発揮してきた。

 鉄道業界で静鉄の革新性が大きく注目を浴びたのは、1973(昭和48)年に地方私鉄初となるオールステンレス車両の1000形を導入したことだった。

 鉄道マニアなら静鉄1000形と聞いただけですぐに理解できるが、毎日のように静鉄を利用している人でも1000形と言われただけではピンとこない。また、1000形がどのようにすごいのかもいまいち伝わってこない。

 静鉄1000形のすごさを理解してもらうためには、少し回り道な説明になってしまうが、日本の鉄道150年の歴史をひもとく必要がある。

 静鉄1000形は地方私鉄初のステンレス鉄道車両という触れ込みだが、ステンレスの鉄道車両を初めて走らせたのは東急電鉄(東急)だった。東急は1958年に車体の外板をステンレスで製造した5200系を東横線で運行。

 外板にステンレスを採用したのは、車体の塗装が不要になるためにメンテナンス費用が軽減できることや腐食しない素材なので従来の外板よりも薄くできるということが主な要因だった。

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