軽自動車のエンジンオイル「交換サイクル」、なぜ普通車より短いのか
さまざまな役割持つエンジンオイル

一般的にエンジンオイル交換は、ディーラーやカー用品店、整備工場、D.I.Y.で行うことが多いと思う。目安としておおよそ走行距離3000~5000kmでの交換が推奨されている。ただ、通勤や買い物で日常的に使うとついつい先延ばししてしまう人が多いようだ。
車に詳しい人ならエンジンオイルの役割や大切さは常識だろうが、車にそう詳しくない人は、潤滑油ということくらいは知っていても、その他の役割については認識していない人が多いと思う。エンジンオイルは、潤滑の他にも、冷却、密閉、洗浄、さび防止といった、エンジンにとって重要な役割を果たしており、オイル交換は車を長期間保有する上で、故障というリスクを回避できる大切な手段のひとつなのだ。
ではなぜ、軽自動車ほど定期的な交換が必要かというと、エンジンオイルはエンジンの使用を重ねていくと酸化し、劣化するのだが、その劣化の度合いが普通車より早いからだ。
これはエンジンの常用回転数が普通車よりも高いからで、例えば排気量2000ccの普通車で街中を走る場合、おおむね1500回転から2500回転が常用回転数だが、軽自動車の場合、排気量は660ccで約1t近くある車体を動かすわけだから、通常で2500回転から4000回転で走行することになる。高速の合流ならもっと高回転になるだろう。これで普通車と同じ距離を走るとなると、オイルの劣化は軽自動車の方が早いのは当然だ。
近年はCVT(無段変速機)の軽自動車が増えて、回転数の差はなくなってきてはいるが、それでもやはり、普通車に比べてパワーに余裕がなく、高回転になることが多いのが現実のようだ。また、軽自動車は、「街乗り」で短距離の移動に使う人も多いが、エンジンが完全に暖まる前に目的地に到着してエンジンを切ることを繰り返すと、スラッジ(汚れ)が発生しやすくなる。
なお、走行距離によるオイルの劣化の進行度は、自然吸気エンジンと過給機付きエンジンでも異なる。過給機つまりターボチャージャーの方が劣化は早く、メーカー整備書には2500kmの交換を記載しているものもある。ターボ軽自動車では、特に注意が必要ということだ。