第2次大戦、米英両雄パットン・モントゴメリーの「戦争指導」の違いをご存じか
「効率性」と「空気」
モントゴメリーは「効率性」を重視すると共に、兵士の身体および精神的な健全さを強く追求した。さらに彼は、「空気(atmosphere)」を最も重視した。今日では「士気」という言葉に置き換えることができよう。
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そして、これ以上の撤退を一切容認せず、当初は防勢、時期が来れば攻勢に転じるとの姿勢を部下に徹底的に示した。もちろん、攻勢を実施するのは準備が完全に整った後である、と述べることも忘れていなかった。
また、モントゴメリーが自らのトレードマークとも言えるベレー帽を愛用したのは、自軍の兵士に対し、さらには敵軍に対し、自らの存在を明確に示すためのひとつのパフォーマンスであった。
おわりに
一般論として、ドイツに代表される枢軸国側は、さまざまな理由によってロジスティクスを軽視する――重視したくてもできない――傾向が見られた一方、アメリカやイギリスに代表される連合国側は、ロジスティクスを重視する傾向が強い。とりわけアメリカ軍は、伝統的にロジスティクスに細心の注意を払うことで知られ、これは「アメリカ流の戦争方法」の大きな特徴とされる。
なるほどパットンは、ロジスティクスをめぐってあまり慎重ではなく、必要であれば現地調達――あるいは敵から略奪――することによってその解決を図った。その意味で彼は、アメリカ軍人として例外的な存在であるが、ロジスティクスの重要性を熟知していたことは事実である。
他方、モントゴメリーは十分な物資および武器弾薬がそろわない場合、極めて慎重な行動に徹した。この両者の違いは決定的であり、モントゴメリーは典型的な連合国(イギリス)軍人と言えよう。
だが、こうした両者の違いにもかかわらず、総じて連合国側が戦いにおけるロジスティクスの側面を重視した事実は変わらない。他方、いかなる事情があったにせよ、ドイツ、さらには日本のロジスティクス軽視は見過ごすことができない。結局のところ、この両国は物量の戦い、そしてロジスティクスの戦いに敗れたのである。