第2次大戦、米英両雄パットン・モントゴメリーの「戦争指導」の違いをご存じか

キーワード :
, ,
第2次世界大戦ヨーロッパ戦線の戦いで活躍した代表的な軍人、アメリカのジョージ・S・パットンとイギリスのバーナード・モントゴメリーについて、ロジスティクスを中心とした戦争指導を比較する。

徹底的な準備と訓練

戦車のイメージ(画像:写真AC)
戦車のイメージ(画像:写真AC)

 モントゴメリーの戦争指導の大きな特徴として、入念な計画および準備が挙げられる。彼は、プロの職業軍人として徹底的な計画立案と訓練を重視し、(1)準備(2)訓練(3)身体的な健全さ――が成功への鍵であると述べている。

 彼は万全の準備を整えることで、リスクを最小限に抑えるという意味で保守的であった。また、十分な時間をかけて組織的に物資や弾薬を集積するという意味でも保守的であった。

 興味深いことに、彼はエル・アラメインの戦いに際して、(1)糧食(2)トイレの衛生状態(3)兵士が母国へ手紙を書きまた母国からの手紙が受け取れること――に、最大限の関心を払った。なぜなら、一般兵士にとってこれらが戦場で最も重要なものであったからであり、モントゴメリーはこれを熟知していた。

 実際、サンドハースト陸軍士官学校での教官時代、彼は訓練のための教範の作成、演習で実弾を使用することなど、その訓練方法に大きな変化をもたらしたとされる。また彼は、第2次世界大戦の勃発を受けて、イギリス軍が1914年と同様の運命をたどるであろうと予測し、いわゆる「奇妙な戦争」の間、攻勢ではなく防勢、そして撤退作戦を兵士にたたき込んだが、これが、ダンケルクからの撤退の成功につながったのであろう。

 モントゴメリーはまた、北アフリカの戦いでの準備の一環として、情報あるいはインテリジェンス(情報の収集と分析・評価)を重視した。

 加えて、時間の許す限り自ら最前線を視察し、さらには、前線の兵士との会話を重視していた点も、モントゴメリーの戦争指導の特徴としてしばしば指摘される。彼はまた、自らが適格でないと評価した軍人をちゅうちょなく解任したことでも知られる。

全てのコメントを見る