「車検の前だけ交換」「夏でもスタッドレス」 タイヤへの無関心が“命取り”になるワケ
「タイヤ交換は面倒」「交換費用がもったいない」と思っていたら、命取りになることもある。タイヤについて説明する。
教習所で習ったこと、思い出して
タイヤは車の「走る、曲がる、止まる」のすべてに関わる重要な部品だ。タイヤ本来の性能を発揮してこそ、安全に走行でき、ドライバーを守ってくれる。摩耗が著しいと、グリップ性能は著しく低下し、制動距離も長くなる。溝が減ったタイヤでは排水性能も下がることから、雨天時の高速走行ではハイドロプレーニング現象を発生しやすくなり、非常に危険である。また、ぬれた路面で軽い感じでブレーキをかけたのにABSが作動してしまった経験はないだろうか。グリップ力が低下して制動距離が伸びているのだ。
カーブを曲がり切れなかった事故の報道があると、スピードの出し過ぎがよく指摘されるが、タイヤの状態が関係している場合もあるだろう。正常なタイヤなら、かじ取り用のフロントタイヤはハンドルを切った方に進んで行こうとする。いつも通りの感じでハンドルを切っても、グリップ力が低下したすり減ったタイヤだと、車は思うように曲がってくれないのである。
危険なタイヤを履いて走行している車が、実は身近に多く走っていると思っても言い過ぎではない。将来、車やタイヤの安全性が飛躍的に向上して、自動運転が普及する時代となっても、クルマの管理をするのは人間であろう。気を付ければ防げる事故が多いはずだ。
自動車教習所でも、タイヤの適正な空気圧と溝の深さを習ったはずだ。一般ドライバーで、小まめに空気圧をチェックしたり、タイヤローテーションをしたりする人は、最近ではあまりいないようだが、そうした人は認識を改めてほしい。今一度、教習所で習ったことを思い出して、他人や他の車に危険を及ぼさないよう、タイヤにもう少し気を配っていただきたい。何より、タイヤはあなた自身の命と、あなたの大事な人たちの命を乗せて走っているのだから。