EVは「大雪で終了」「立往生で凍死」という暴論はなぜ無くならないのか? 感情的にならず、まずは科学的事実・雪国オーナーの声に向き合え

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「電気自動車は電力不足や大雪のときは使えない」「立ち往生したら凍死する」などという声がある。実際はどうなのか、解説する。

節電要請とEVの普及は矛盾するのか?

EVの移動・充電時間の分布。「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」より(画像:国交省)
EVの移動・充電時間の分布。「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」より(画像:国交省)

 ここ数年、主に電力需要が増える真夏や真冬の朝から夕方ごろにかけて、需給のひっ迫による節電要請が相次いでいる。主な原因は、異常気象による想定外の需要増加や原発の停止、電力自由化に伴う不採算の既存発電所の過度な廃止といわれている。そして当然ながらEVの充電には多くの電力を消費するため、一見すると指摘は間違っていない。

 ところが「EVを充電する時間帯」と「電力の需給が逼迫(ひっぱく)する時間帯」が異なるのは、EVを所有したことがある人にとっては常識だ。需給が逼迫する時間帯は、ほとんどが朝夕、あるいはお昼前後だ。一方でほとんどのEVは、電力の需要が少なく電気料金の安い深夜に充電しており、需要の多い朝夕や昼間に充電するのは、長距離を移動する際の急速充電や夜間に車を使用する場合など、ごく一部に限られる。

 これは国交省が公開している「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」でも裏付けられており、電力の需要が減る夜間は全体の約6~10%が充電している一方、電力の需要が増える午前7~21時ごろに充電する車両は全体の1~3%前後と、ごく少数であることが分かる。現状だと自宅で充電できないEVオーナーが昼間に出先で充電することもあるが、東京都など都市部を中心に、集合住宅への普通充電器や200Vコンセントの設置が進んでおり、昼間の充電比率は今後さらに下がると予想される。

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