転落防止の強い味方 「昇降式ホーム柵」は関東でも広まるのか

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ホームの転落防止や接近する列車との接触を防止するホーム柵。昇降式、可動式、それぞれのメリット・デメリットとは。

可動式ホーム柵のデメリット

駅のホームに設置されている可動式ホーム柵(画像:写真AC)
駅のホームに設置されている可動式ホーム柵(画像:写真AC)

 首都圏で主に導入されているのは可動式ホーム柵だ。可動式ホーム柵とは、プラットホームと線路のあいだを壁とドアで仕切り、列車が到着したときにドアが連携して開閉する設備だ。そのメリットは、

・ホームの転落防止
・列車との接触防止

とされており、JRのみならず東京メトロ、各私鉄などで導入実績も多い。

 しかし可動式ホーム柵にはデメリットもある。使用する列車の扉位置に合わせてホームドアのユニットを設置しなければならないため、列車によって扉の枚数や扉の位置が大きく異なる路線には簡単に導入できないのだ。

 さらに可動式ホーム柵は、

「長い工事期間」

を要する。可動式のユニットはひとつあたり400k~500kgで、設置に伴うホーム側の補強と設置準備工事が必要だ。国土交通省のリポート「鉄道サービスの現状と課題 都市鉄道サービスの現状と課題」によれば、設置に要する費用は1駅あたり

「3億円」

にものぼる。

 東京メトロはホームドアを積極的に設置しているが、かつて日比谷線で3ドア車両と5ドア車両が混在していたため、4ドアの新型車両に置き換えてドア数を統一。その後、ホームドアを導入したこともある。

 このように可動式ホーム柵は、

・ドアの位置の融通が利かない
・重量が重く工事期間が長い
・費用が高額

などといったデメリットがあるため、慎重に導入が進められている。