ブルートレイン消滅の日本と何が違うのか? 欧州で「夜行列車」が増え続けるワケ
ヨーロッパでは近年、夜行列車の新規路線が毎年のように開設される。日本との違いの理由を解説する。
環境問題も追い風

一方の高速バスについては居住性などサービス面で差があり、ここもすみ分けができている印象を受ける。高速バスのチケットは、購入するタイミングによっては破格とも言える安値で売られているため、若者を中心に人気となっているが、注意したいのは日本の高速バスのような居住性や乗り心地は一切期待できないという点だ。
ヨーロッパの高速バスで使用されている車両の大半は、採算性を重視して60人以上が乗車できる詰め込み設計となっており、非常に窮屈で、座面も硬く快適さとは程遠い。日本で運行されている3列独立フルリクライニングシートの車両は、ヨーロッパではほぼ見かけない。高速バスは、所要時間や快適性を犠牲にしても、とにかく安く移動したいという人や、それしか移動手段がないという人が利用する乗り物と考えてよい。
また、ヨーロッパでは「追い風」も吹く。ここ数年、環境問題がクローズアップされるようになってから、鉄道利用を促す風潮が今も続いている。夜行列車の復活にも大いに関係していて、この機に乗じて各鉄道会社は路線網の拡充にかじを切っている。
もちろん採算度外視というわけではないので、集客のために必要な「適切な運賃設定」「料金に見合ったサービス」「利用客の多い区間の運行」などが重要となってくる。2023年はどこで運行が始まるのか、計画されているものも含め、しばらくヨーロッパの夜行列車事情からは目が離せない。