米新車販売「トヨタ首位陥落」で露呈した、米国市場の特殊性 EV復権の波も中長期の覇者は誰だ

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トヨタ自動車は2021年、米国で230万台を販売し、首位を奪取した。一方で2022年は210万台に減少、230万台を生産したGMが首位に返り咲いた。今後どうなるのか。

Z世代の動向も重要な要因

テスラの販売価格引き下げ率(画像:テスラ)
テスラの販売価格引き下げ率(画像:テスラ)

 このように短期的にはトヨタが苦戦しそうだが、中長期的にはどうだろうか。第一に、EVの普及度、すなわち「EVの価格とインフラの整備状況」が大きく影響するだろう。

 EV推進派はEVの普及が進めば価格は下がり、価格が下がればさらに普及が進むという「好循環」を主張するが、2022年から電池原料であるリチウムやコバルトの高騰により、リチウムイオンバッテリーを搭載するEVの価格は大幅に上がっている。また、米国全土の充電ステーションは2022年10月で5万2889か所と、ガソリンスタンドの14万5000か所に遠く及ばない。

 ニューズウィーク誌は「現在カリフォルニア州には10万台弱の充電器があるが、カリフォルニア大学は2035年までに州全体では200万台が必要と試算し、そのためには約1000億ドル、米国全土では2740億ドルの投資が必要」と説明する。

 さらに、充電インフラが不足すれば消費者はEVよりPHVを選ぶ。あるいは、ピックアップEVより電費の良い中型や小型のEVを選ぶだろう。このような状況はトヨタにとって有利だ。

 第二に、デジタルネーティブであるZ世代(1990年代中盤から2000年代までに生まれた世代)の動向も重要な要因だ。Z世代にとって車は単なる移動の手段であり、所有意欲は低い。だが、移動手段として車が不可欠な米国社会では、Z世代が今後、全く新しいモビリティ文化を創造するだろう。

 自動運転が普及すれば、車は航空機や鉄道以上に自由な個人空間となり、大型ピックアップトラックやSUVはもはや不要となるはずだ。モビリティサービス専用EVと称する「トヨタのeパレット」がZ世代への提案なのかもしれない。

 では、GMは何を提案するのだろうか。

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