米新車販売「トヨタ首位陥落」で露呈した、米国市場の特殊性 EV復権の波も中長期の覇者は誰だ
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GMは北米市場に君臨し続けるのか
![テスラの販売価格引き下げ率(画像:テスラ)](https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2023/01/230128_car_04.jpg)
このような政策を背景にGMは「2021 Sustainable Report」のなかで、全車電動化の未来に向けた加速度的な取り組みを発表した。
2021年末に生産を開始したハマーEVやボルトEVの販売が好調で、2023年発売予定として、ブレイザーEVと30万ドルの高級EVセレスティックを発表し、2022年3月にはキャデラックのEVリリックが生産を開始した。
一方、トヨタはEV、燃料電池車(FCV)、PHV、HV、水素エンジン車、エンジン車の全方位戦略を基本としながらも、世界的にEV市場が想定以上のペースで拡大するなかで
「EV戦略の見直しを検討中」
と2022年12月にロイター誌は報じた。
米国自動車販売2社の戦略は対照的だが、その実現に関してはGMが一歩先行している。連邦準備制度理事会(FRB)は2023年は上げ幅を縮小するが、利上げ継続の方向を示しており、
「米国の金利高が23年の新車販売に警告のサインを発している」
とブルームバーグは述べる。しかし、現在、高価格EVが主力のGMにとって影響は限定的と思われる。
一方、GMより低価格帯が主のトヨタは、大きな影響を受けると予想される。そして2023年1月、テスラが販売価格を下げた。日本では10%、米国では最大20%下げ、中国とドイツでも大幅に下げた。
「世界的な景気鈍化の中で成長に陰りが出たとの疑念からテスラ株が大きく下落する中、販売攻勢をかけて市場の疑念を払拭(ふっしょく)する狙いのほかに、米国ではEV補助金を受けるための販売価格上限に収める狙いもある」
と時事通信は分析する。
これによりトヨタは、EVだけでなくPHVの販売にも影響を受ける可能性がある。2023年のテスラモデル3は4万3990ドル~で、対象となる販売価格上限の5万5000ドル以下だ。EV補助金2500~7500ドルを受ければ、RAV4プライムPHV4万2340ドル~より安くなる。