「サボって買い食いするな」 休憩中の救急隊員に浴びせられる中傷の数々、“制服仕事”を標的にするのは卑怯だ
救急隊への心ないクレームが各地の自治体や消防署に寄せられている。彼らのような「制服」仕事は標的となりやすいのだ。
標的になりやすい「制服」仕事

だからこそ悲しいかな、日本中ほぼすべての自治体や各消防署では、先に挙げたような「理解とご協力のお願い」をするしかない。
「救急隊は連続する出動など休憩や食事がとれない場合があります。また、熱中症を予防するため、こまめに水分補給をしなければなりません。そこで……病院の売店や自動販売機等で飲食物を購入し、飲食をとることがあります。出動体制は維持しておりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします」(長崎県佐世保市)
「救急隊員の医療機関等における水分補給や、コンビニ等での飲料水等の購入にご理解を。救急隊員は、気温や天候に左右されることなく、昼夜を問わず救命活動やけが人等の搬送を行っています。救急需要が多い時間帯や酷暑時には、消防署に戻る途中で次の出動に対応するため、何時間も消防署に戻れないことがあります」(愛知県名古屋市)
「現在、新型コロナウイルス感染症の拡大や猛暑の影響により、救急要請が急増しています。救急要請が重なることも多く、救急隊が朝、消防署を出動してから夕方まで消防署に戻ることができない状況が続いています。そのため、傷病者を医療機関へ搬送した後、出動できる体制をとりつつ、救急隊が水分補給や食事をとるためコンビニエンスストア等を利用することがあります。市民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします」(埼玉県草加市)
無作為に抽出したが、このようなお願いを救急隊に強いること、本当に悲しく申し訳なく思う。筆者は本媒体において「「制服姿でサボるな」 休憩中の配達員にクレーム頻発、あり得ない不寛容さから見える没落日本のリアル」(2022年9月25日配信)と題したルポルタージュを書いたが、いわゆる「制服」仕事はクレーム先がわかってしまうため標的となりやすいのだ。