「高速道路、いつかは無料」 かなわぬ夢を国が今でも言い続けるワケ
「高速道路は、いつかは無料になる」。そんな漠然とした希望はついえた。なぜ、国はかなわぬ夢を提示したまま、今に至ってしまったのか。
「道路は無料」原則が束縛
2001年に成立した小泉純一郎内閣では、郵政と共に「抵抗勢力」を排除して経営改善のために民営化する方針が打ち出された。この時、政府では「道路関係4公団民営化推進委員会」を設置し、民営化に向けた制度設計を進めた。
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この時点で委員会が提示していたのは「高速道路は永久に有料」という意見だった。委員会では、全国の高速道路を資産として保有し、債務を返済するための「道路保有機構」(この時点での仮称、その後、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構として発足)と、同機構から道路を借り受けて営業する民間会社を設置することを提言。その上で、高速道路の料金については「有料方式を恒久的に維持する」という原則を提示している。その理由は、有料でなければ民営化後の運営や修繕が困難になるという至極まっとうなものだった。
ところが、これは日本の道路政策と相反するものであった。日本の道路政策は、実体は別として「道路は無料」を根幹としており、「有料道路の方が例外」を原則としていた。高速道路が料金を徴収できるのは「道路整備特別措置法」があるからだ。この法律によって、高速道路は建設や修繕の費用を、通行料金によって賄うことができる。その上で、債務の返済が終われば、道路を国や自治体に引き渡して無料で開放する「償還主義」が、日本の道路政策の基本とされてきた。
つまり、高速道路を永久有料にすると明言するのは、日本の高速道路建設にあたっての政府の見解を完全に転換することであった。