「自動運転MaaSは3年以内に実現」 英IDTechExが予測 「自動運転車の日」に発表
英IDTechExが米の「自動運転車の日」に、「MaaS向け自動運転は3年以内に実現する」との予測を発表した。それを裏付けるものとして、三つの理由を挙げている。コロナ禍により、自動運転技術の成熟度はむしろ向上しているという。
センサーの進歩と価格の引き下げ
自動運転技術だけでなく、自動運転の実現に必要なセンサー類の価格も下がっており、それが自動運転MaaSの3年以内の実現に寄与するとIDTechExは分析する。そしてこれに強い影響を与えたのがアップル(Apple)社だという。
アップルは2020年11月、iPhone 12 ProとiPad ProにLiDARを実装したことを発表。こうした一般大衆の身近なデバイスにLiDARが採用されたことで、LiDARの主要部品が軒並み値下がりしたとする。
例えばLiDAR最大手の米国ベロダイン(Velodyne)社が販売する「Velarray H800 LiDARユニット」は現在500米ドル(およそ5万5000円)未満の価格で購入可能になっているが、数年前までは最大で1万米ドル(およそ110万円)、さらにそれ以前は最大で7万5000米ドル(およそ825万円)という価格だったという。すなわち、これまでおよそ8分の1で価格が低下してきたものが、iPhoneへの搭載によって一気に20分の1程度の値段に低下したということになる。
LiDARは自律走行車にとって極めて重要なセンサーであり、「自動車の目」ともいえるコンポーネントである。自動運転MaaSを提供するにあたって、合理的な価格でLiDARを調達できることは必要不可欠であり、これが可能になってきているということは、自動運転MaaSの実現が現実味を帯びてきていることに他ならない。