「窓側 or 通路側」だけじゃない! 乗り心地のよい座席を選ぶコツをご存じか

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新幹線や特急列車の指定席を予約するとき、「窓際か通路側か」を気にする人は多い。だが、「乗り心地」を基準に選ぶ方法もある。

鉄道でオススメの席は?

新幹線で乗り心地のよい席は?(画像:写真AC)
新幹線で乗り心地のよい席は?(画像:写真AC)

 では、電車やバスの中で、揺れが穏やかなのは、どの辺りだろうか。結論から言うと、鉄道車両では「車両の中心近く」、バスでもおおむね真ん中と考えてよいが、厳密には前輪と後輪の中間地点より後ろ寄り、「後輪の少し前辺り」がオススメである。なぜそうなるのか解説しよう。

 話を分かりやすくするために、例えば鉄道車両が線路上の2cmの段差に乗り上げた時のことを考えてみよう。一般的な鉄道車両には4つの車軸があり、サスペンションで衝撃を吸収するなどしているが、ここではシンプルに、前にも後ろにも車輪は1軸しかなく、サスペンションもない車両として考える。

 さて、前の車軸が段差に乗り上げた瞬間、前の車軸の真上の床や座席は2cm上に動くが、前後の車軸のちょうど中央の床や座席は1cmしか上に動かない。この時は後ろの車軸は上には動かないが、車両が前に進んで後ろの車軸が段差に乗り上げるときには、後ろの車軸は2cm上に動くことになり、同時に前後の車軸のちょうど中央はもう一度1cm上に動く。

 つまり、車軸の真上では、段差による外力の影響を一気に全て受けるが、前後の車軸の中央では、外力の影響を2回に分けて、「半分ずつ、穏やかに」受けるのだ。話をシンプルにするために「段差」で解説したが、同じことは線路の微妙な起伏でも、常に起きている。

 また、上下方向だけでなく、左右方向も同じことが起きる。カーブに差し掛かる時や、ポイントを通過する時など、車輪の近辺に比べて車両の中央付近は、先ほどと同じ理屈で動きが穏やかになる。

 ちなみに、前の車軸よりも前の部分や、後ろの車軸より後ろの部分は、車軸の真上よりも動きが大きくなる。つまり外力の影響が増幅するのだ。この部分は「オーバーハング」と呼ばれる乗り心地の悪い場所なので、特急車両では運転台やデッキなどになっていることが多いが、近年では、保線技術が向上して乗り心地が向上したことや、定員増加を狙うことから、座席となっている車両もある。いずれにしても、鉄道車両は端に行くほどよく揺れ、中央に行くほど乗り心地が良いと考えておけば良いだろう。

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