「鉄オタ = 鉄道会社に就職できない」は結局、本当なのか?

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「鉄オタは鉄道会社には就職できない」なる話は都市伝説に過ぎない。鉄オタゆえに夢を諦めず鉄道会社に就職した人、中には社長になった人もいる。

社長になった鉄道ファン

山形鉄道(画像:写真AC)
山形鉄道(画像:写真AC)

 こうした鉄道会社に就職した鉄道ファンの中で、特に本気度が高いのが2009年に山形鉄道の社長に就任した野村浩志氏である。本人の著書『私、フラワー長井線『公募社長』野村浩志と申します』(ほんの木)の中でも詳しく書かれているが、少年時代の野村氏は鉄オタで、いじめられっ子だったという。しかし、それを乗り越えて大学卒業後は読売旅行に就職し、配属された営業所の売り上げを全国トップクラスにする快挙を成し遂げた。

 とりわけ熱心に取り組んだのは、ローカル線を応援する企画だ。中でも「福島県JR只見線ブライダルトレイン企画」は「第8回 鉄旅オブザイヤーグランプリ」を受賞している。その後、山形鉄道が実施した社長公募で89人の応募者の中から採用されたが、この際の『河北新報』(2009年10月31日付)でのインタビューでは「夢を持ち続け、大好きな鉄道とかかわり続けることで道が開けた」と語っている。まさに鉄オタの鏡といえる人物であろう。

 こうした事例に限らず、鉄道会社のあらゆる部署に鉄道ファンは確実にいるという。本人も乗り鉄だというある鉄道会社社員に尋ねると、こんな話が。

「濃淡はあるけど、鉄道ファンの社員というのはけっこういます。就職先を選ぶ時に、鉄道への興味がまったくゼロという人は応募しないと思うんですけどね。ただ、会社ですから鉄道愛以外の部分も重要です。よくネットで話題になる鉄オタみたいな人が就職できるはずがありません」

 とはいえ、中には「なぜ、この人が採用されてしまったのか」と思うような社員はいるという。

「特にSNSの時代になってから、したり顔で自社の路線についてツイートし続けているような人はいます。仕事を無難にやっているのならいいんですけど、自分の勤務先を『におわせ』する人もいるので、いつかまずいことをツイートしてしまうんじゃないかとヒヤヒヤされていますよ」

 多くの鉄道会社では、自社の社員がツイッターでNGなことを投稿していないかチェックを欠かしていないという。

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