「新幹線の技術が中国に盗まれる」 JR東海・葛西敬之が危惧した過去と現在、安倍晋三との蜜月で政府と一体化した「最後のフィクサー」とは
2022年5月に亡くなった元JR東海会長・葛西敬之。その人生は常に権力と共にあり、日本を裏から動かしてきた。
警察・検察に近付いた葛西

一方、民営化後、JR東海に移った葛西は松崎と決別する姿勢を示した。松崎にとっては裏切りであり、1991(平成3)年に葛西の女性スキャンダルの写真が各方面にばらまかれたのも、旧動労の攻撃だったといわれている。
ここで葛西が頼ったのが警察や検察だったという。そして、迎え入れられた人物のひとりが杉田和博だった。杉田は中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴の秘書官にもなった警察エリートで、内閣官房内閣情報調査室(内調)室長を経て、歴代の警視総監が就くポストである内閣危機管理監となり、官邸の危機対策を担った。
杉田は2004年に退官し、内調の外郭団体である「世界政経調査会」の会長となるが、このときに杉田はJR東日本とJR東海の顧問にも迎え入れられた。特にJR東海については葛西のたっての希望だったという。
葛西はJR東日本の入社試験に落ちた杉田の息子をJR東海に受け入れ、杉田との関係を深めた。また、葛西は麻生内閣で官房副長官を務めた元警察庁長官だった漆間巌とも懇意だった。
本書では、葛西が第2次安倍政権の内閣官房副長官に、第1候補を漆間、第2候補を杉田と考え、漆間が固辞したので杉田になったということが書かれている。
官房副長官就任について
「第2次安倍政権の発足にあたり、総理から直々に打診が会ったわけではありません。葛西さんからです」(206ページ)
という漆間自身の話が紹介されているが、内閣の骨格をなす人事に首を突っ込むほど葛西は安倍と深い関係にあったのだ。さらに、葛西は
・宇宙政策
・原発再稼働
などにも熱意を持って取り組んでおり、そこから経済産業省の官僚との接点も生まれた。第2次安倍政権のキーパーソンであった今井尚哉ともつながりがあったという。