火花散る「電気トラック」開発競争 一歩リードはテスラか? ライバル各社に漂う「走行距離500km」という見えない基準

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電気トラックの開発が世界中で加速している。今後の派遣を握るキーワードは何か。

ボルボもテスト走行成功をアピール

ボルボのテスト走行の動画(画像:Volvo)
ボルボのテスト走行の動画(画像:Volvo)

 イーロン・マスクCEOのツイートから約1週間後の12月3日に、ボルボもドイツで行った電気トラックのテスト走行「Miles Challenge」の成功を、YouTubeにアップした。

 このテスト走行は、ボルボの総重量39tのFH Electricを使って、ドイツのミュンヘン~ベルリン間で実施された。通常の貨物輸送を想定した実用速度85km/hで走行し、1日で606kmを走破している。なお、ベルリン到着時には35%バッテリーが残っており、さらに130kmの走行が可能とのことである。通常の貨物輸送で合計736km走行できるというFH Electricのアピールは、テスラSemiの8万1000ポンド(約37t)、500マイル(約800km)と、遜色ないことを訴えるには十分な数字だ。

 とはいえ、ボルボは2019年から中型モデルのFL ElectricおよびFE Electric、2022年9月からは最大44tクラスの大型トラックFH Electricをはじめ、FM Electric、FMX Electricといった電気トラックを既に量産している。この点において、2022年12月に初めて納入したテスラとは大きく異なる。

 ボルボトラックの新車販売担当ディレクターであるクリストフ・フィッツ氏は、

「2025年には、15~25%を電気トラックが占め、2028年から2030年までには、新車販売のほとんどを電気トラックにして、エンジントラックを終わらせる」

という同社の目標を述べている。

ダイムラー・トラックも加速

ダイムラー・トラックのイメージ(画像:Mercedes-Benz)
ダイムラー・トラックのイメージ(画像:Mercedes-Benz)

 ダイムラー・トラックは、ドイツのヴェルト・アム・ラインにあるトラック工場の生産を、2026年末には100%電気トラックにすると11月下旬に発表している。2030年には、ヨーロッパ市場で販売される新車のうち、電気トラックの割合を60%までに引き上げる。

 同社は、工場における電気トラックの生産だけでなく、工場近くに新しい物流センターと充電設備を整備することを同時に発表している。

 2022年の7月末に、40kWから300kWまでの6台分の充電設備を有するeTruck充電パークを既に整備しているが、今後はメガワットチャージを含めて50台分の充電設備を用意する。

 また、2023年にセミトレーラーeActros300の量産を開始し、続いて2024年には、eActros LongHaulを量産開始する計画だ。eActros300は最大約400km、eActros LongHaulは1回の充電での走行距離が約500kmとなっている。

 テスラやボルボの電気トラックと比較すると若干インパクトに欠けるが、どのような長所を引き出して攻めていくのか気になるところである。

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